「大阪都構想」の対案として自民が提案した「大阪戦略調整会議」(大阪会議)が24日、設置されることが決まった。大阪府議会と大阪市議会に続き、同日の堺市議会でも関連議案を可決。来週中にも準備会合を開く。
 大阪会議は大阪府大阪市堺市の3自治体の首長と議員9人ずつの計30人で構成。成長戦略や産業振興、交通政策について協議する枠組みだ。都構想で議論になった府と政令市の二重行政の解消を図る狙いがある。事務局は、府が7月に設置する政令市連携室などが担うことが想定されている。
 松井一郎知事は同日の記者会見で、議論のテーマや日程を決める準備会合を来週中にも開く方針を明らかにした。大阪会議の実効性に否定的な橋下徹大阪市長もこの日、表敬に訪れた府議会の正副議長に対し、「早期の開催を目指すべきだ」との考えを伝えた。【山口朋辰、牧野宏美】

 ◇ダブル選も見え隠れ
 大阪都構想が否決された住民投票から1カ月余り、大阪会議の設置が決まった。大阪維新の会が賛成に方針転換したことが理由だ。維新が自民に歩み寄った結果で、「ノーサイド」のようにも映るが、秋の大阪府知事大阪市長のダブル選をにらんだ攻防も見え隠れする。
 自民は当初、今議会では継続審議にする腹づもりだった。他会派と調整しながら9月議会で可決させ、ダブル選の目玉政策にする−−。そんな筋書きがあったが、維新の「抱きつき戦術」で崩れた。
 「この条例案、100点です」。今月4日にあった自民、維新両大阪市議団の非公開の勉強会。それまで大阪会議を「0点」と酷評していた維新市議の言葉に、自民市議はのけぞった。翌日、維新は大阪会議への賛意を公式に表明。維新と自民の議席を合わせれば過半数に達する。自民は追い詰められた格好になった。
 自民は府議団と大阪市議団が8日に協議。「継続審議にしたら、改革に後ろ向きとみられかねない」(府議)との声が上がり、条例案を修正して今議会での可決を決めた。府連内に大阪会議のプロジェクトチームを近く設置し、会議の議題とすべき政策テーマを検討する予定だ。
 巻き添えにされた形の堺市からは不満も漏れる。2006年に政令市に移行したばかりで、「二重行政はない」との立場だ。ある市議は「財政状態が悪い府や市に事業を押しつけられることがあってはならない」と警戒する。
 一方、維新が賛成に転じたのは、松井知事の指示だったとされる。維新の大阪市議の一人は狙いをこう語る。「大阪会議はうまくいくはずがない。何も決められず、必ず立ち往生する。ダブル選前にそれを有権者に知ってもらわなければならない」【平川哲也、念佛明奈、山口朋辰】 

本記事では,堺市大阪市大阪府における「大阪戦略調整会議」の設置を紹介.
堺市の2015年の第2定例会に,「地方自治法に規定する指定都市である本市及び大阪市並びに両市を包括する都道府県である大阪府が政策的に協調し,政策の統一性を確保する」ことを目的に「大阪府及び大阪市と協議の上」提出された「大阪戦略調整会議の設置に関する条例」*1案.本記事では,同市議会での可決により,3市府において設置されることを紹介.
同会議では,「成長戦略」「産業振興」「交通政策」「環境政策」「都市魅力」「まちづくり(拠点開発)」等と,「大阪府と本市又は大阪市が類似の行政サービスを提供し,かつ,当該サービスが供給過多になっているもの又は共同して取り組めばさらに当該サービスの水準の向上が期待できるもの」と定義がされる「二重行政」の「解消が行政課題となる事項」*2に関し協議を進めるとともに,「指定都市都道府県調整会議の円滑な設置」,更には「将来の関西州への一助となることを目指す」*3ことが同条例で規定されている.
「大阪会議」*4と略される同会議.3市府の「三者会議」*5での審議状況は,要観察.

*1:堺市HP(堺市議会会議情報議案書(付議案件)等平成27年)「付議案件綴(その5)」2頁

*2:前掲注1・堺市(付議案件綴(その5))3頁

*3:前掲注1・堺市(付議案件綴(その5))3頁

*4:前掲注1・堺市(付議案件綴(その5))3頁

*5:坂野潤治『日本近代史』(筑摩書房,2012年)142頁

日本近代史 (ちくま新書)

日本近代史 (ちくま新書)