来年の参院選での「18歳選挙権」実現をにらみ、総務省は、大学進学などで親元を離れる際は住民票を移すよう高校生の啓発を本格化させる。
 独り暮らしの大学生らは住民票を実家に残す場合が多く、現住所地で投票できないことが、新たに選挙権を得る18、19歳の低投票率につながりかねないと判断。高校での指導強化を文部科学省に求めるなど、対策に取り組む。住民基本台帳法は、住所変更時の市町村への届け出を義務付けているが、選挙啓発団体の6月の調査によると、親と同居していない大学生らのうち、住民票を移した人は4分の1程度だった。4月の統一地方選に関する松山市選管のアンケートでは、棄権した大学生の70%近くが「住民票がない」を理由に選んだ。
 危機感を抱く総務省が目を付けたのは、18歳選挙権を受けて充実化させる高校での主権者教育。今秋に予定する副教材の配布や模擬投票などの実施に合わせ、教師から住民票移転の重要性を説明してもらう。3〜4月の卒業や入学のシーズンに大学、高校に掲示するポスターを作製。シンポジウムの開催も検討する。
 総務省地方自治体のインターネットなどによる通常の啓発活動でも、高校生に転居先へ住民票を移せば投票しやすいと訴える考え。総務省幹部は「18歳になった後の最初の選挙で投票し、将来も投票を続けてほしい。現住所地に住民票を置いてもらうことがその第一歩だ」と話している。〔共同〕

本記事では,総務省における「選挙権年齢等の18歳への引下げ」*1に伴う取組方針を紹介.
「公職の選挙の選挙権を有する者の年齢」,「漁業法」が「規定する海区漁業調整委員会の委員の選挙の選挙権及び被選挙権を有しない者の年齢」,「農業委員会等に関する法律」が「規定する農業委員会の選挙による委員の選挙の選挙権及び被選挙権を有する者の年齢」がいずれも「年齢満20年以上から年齢満18年以上に改め」*2られたなか,公益財団法人明るい選挙推進協会では,「中学生は含まない」「15 歳から24歳の男女 3 千人を対象」に「インターネット調査」を実施.同調査では,「高校卒業後、親元を離れて進学した短大生や大学生,大学院生等は 26.4%しか住民票を移していない」*3と回答されている.本記事によると,同省では,「今秋に予定する副教材の配布や模擬投票などの実施に合わせ」て「教師から住民票移転の重要性を説明してもらう」方針の模様.「一対一とは限らない」とも解される「住民と自治体との関係」*4を,一対一に揃えことを試みられようとする同取組方針.実際の移動状況は,要観察.

*1:総務省HP(選挙・政治資金選挙ニュース一覧<投票制度・選挙制度・啓発その他>選挙権年齢の引下げについて)「公職選挙法等の一部を改正する法律の施行について(通知)」(総行選第42号 平成27年6月19日)

*2:前掲1・総務省公職選挙法等の一部を改正する法律の施行について(通知))

*3:公益財団法人明るい選挙推進協会HP(調査研究事業(意識調査))「18歳選挙権認知度調査」8頁

*4:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『第3版 ホーンブック地方自治』(北樹出版,2014年)238頁

ホーンブック 地方自治[第3版]

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