道路を活用した広告の収入を美化活動などまちづくりの費用に生かすNPO法人などの取り組みが、都内で広がっている。道路には本来、広告を出せないが、都は屋外広告物の規制を除外する都条例の特例を適用し、後押ししている。
千代田区丸の内にある行幸通り地下通路内の支柱に昨年十一月から、地元企業や美術館などのポスター広告が張り出された。地下通路も上部の都道同様、通常は広告を掲示できない。大手町・丸の内・有楽町エリアの関係者でつくるNPO法人大丸有エリアマネジメント協会の担当者は「殺風景な地下通路がポスター掲示でにぎやかになった」と手応えを語る。協会は、屋外広告物の規制を除外する都条例の特例許可を得て、広告事業を展開。オーダーがあれば、丸の内仲通りや大手町川端緑道なども含めてフラッグやポスターを掲示し、収益の一部を街の美化活動に充てる仕組みだ。
渋谷区でも、一般社団法人渋谷駅前エリアマネジメントが昨年十一月、渋谷駅ハチ公前にある区の大型掲示板(縦二・九メートル、横一三・二メートル)を無償で借りて企業広告を掲出。広告の収益を駅周辺でのイベント実施などの経費に充てる。
都によると、秋葉原、大手町・丸の内・有楽町、渋谷の三カ所で、都屋外広告物条例による規制を除外する特例を認めている。昨年秋には一般社団法人新虎通りエリアマネジメント(港区)も発足した。
これまでも、イベントに合わせた期間限定で、都はエリアマネジメント団体の広告掲示に特例で許可を出していた。だが、エリアマネジメント団体からの要望もあり、大手町・丸の内・有楽町エリアなどでモデル事業として期間を限らずに許可。二〇一五年四月から本格運用を始めた。
ただ、各団体とも広告の収益だけで活動費を賄うまでには至っていないという。大丸有エリアマネジメント協会の担当者は「広告手段としての認知が広がれば、広告収入が増えるのではないか」と期待している。 (松村裕子)
本記事では,東京都における屋外広告物規制の取組を紹介.
東京都屋外広告物条例第30条では,「景観又は風致の向上に資し,かつ,公衆に対する危害を及ぼすおそれのない広告物等」は「東京都広告物審議会の議を経」ることで,「許可の特例」*1が認める.本記事によると,「美化活動などまちづくりの費用に生かすNPO法人」において,同特例に基づく広告の掲示により「収益の一部を街の美化活動に充てる仕組み」として利用されている模様.
「一般に街の景観阻害要素と考えられてきた」「広告物」*2.道特例を通じた「賑わい」と「景観」*3との間でのバランスは,要観察.
*1:東京都HP(各局のページ:都市整備局:各分野別にみる:都市づくり政策:屋外広告物:条例・規則・要綱)「東京都屋外広告物条例」(昭和二四年八月二七日,条例第一〇〇号)
*2:小林重敬「エリアマネジメント活動の財源」 小林重敬編著『最新エリアマネジメント--街を運営する民間組織と活動財源』(学芸書房,2015年)96頁
*3:前掲注3・小林重敬2015年:96頁