保育所不足に悩む東京都目黒区が、区役所の敷地内に認可保育所を開設することを決めた。区内で保育所建設反対の住民運動が2件続き、待機児童の解消が進まない中、やむなく自らの足元に目を付けた。
 区総合庁舎敷地内の駐車場のうち1カ所(約270平方メートル)を廃止し、区が30年間の定期借地権を設定して民間事業者に貸す。区は国、都と合計で約1億5000万円の補助金を事業者に支出する予算案を編成した。事業者は定員60人程度の3階建て施設を建設する。来年4月開所を目指して、2月22日に事業者向け説明会を開く。
 区の待機児童は2015年4月の時点で過去最多の294人おり、全国で16番目に多い。14年度1年間で認可2施設、小規模4施設を新設し、区内の保育所定員を計334人増やしたにもかかわらず、待機児童は前年より47人増えた。
 保育所に適した土地は区内にほとんどなく、16年度は小学校の空き教室や統廃合で廃校になった中学校跡地に保育所を新設する。定員は481人増えるが、待機児童はそれを上回るペースで増えると見込まれている。
 目黒区では14年に平町地区で、15年に八雲地区でそれぞれ反対運動が起きた。
 区によると、平町地区は住民の理解を得て昨年末に既存の建物を保育所に改装する工事が始まった。一方、八雲地区は説明会を3回開いたが、子どもが多くなると車の通行が危険になる▽住宅地なのに子どもの遊ぶ声や保護者の話し声は迷惑だ−−などの反対意見が根強く、開所のめどは立っていない。【早川健人】
          ◇
 厚生労働省によると、昨年4月時点の待機児童数は全国で2万3167人(前年比1796人増)で、5年ぶりに増加に転じた。待機児童のいる自治体は一昨年より36カ所増えて374市区町村。
 全国最多1182人の東京都世田谷区は、国家戦略特区の枠組みで2017年4月に都立祖師谷公園内に保育所を開設する予定。都市公園法は公園内で保育所など社会福祉施設の設置を認めていないが、用地確保が困難な地域で待機児童解消につなげるため、都が特区申請して認められた。
 千葉県船橋市が2番目に多い625人。那覇市大分市仙台市がこれに続く。船橋市は保育士確保のため大学や短大の学費支援、家賃補助など独自の支援策を用意している。

本記事では,目黒区における待機児童対策の取組を紹介.
2011年度は「59」名,2012年度は「143」名,2013年度は「132」名,2014年度は「247」名,2015年度は「294」*1名と待機児童数が推移する同区.2015年までの5年間で,同区では,「認可保育所の新設,定員の拡大,認証保育所整備など」を行い,「八百人以上の定員増」を進めてきたものの「保育所等待機児童数は依然として多い状況」にあることを受けて,2016年度には「賃貸型や国公有地を活用した私立認可保育所,小規模保育事業施設の整備,定期利用保育の実施など」を「活用し」「200人余の定員増加」,2017年度には「区有地を活用した整備の加速化」を進めることとなり,具体的には「旧第六中学校跡地,上目黒小学校校舎内」,そして,本記事で紹介されている通り「区役所敷地内への認可保育所整備の取組を進め」*2方針が,2016年の同区議会定例会での区長所信表で明示されている.
庁舎敷地の「開かれ」*3る方法は,確定後,要確認.

*1:目黒区HP(くらしのガイド子育て・保育保育園)「保育所等入所待機児童数の推移

*2:目黒区HP(行政情報 区長の部屋区長の発言集区長の発言集 所信表明)「平成28年第1回目黒区議会定例会での区長所信表明(平成28年2月19日)

*3:松井望「行政財産使用の選択 〜目的外使用の許可制度と貸付制度」小島卓弥編著『ここまでできる実践公共ファシリティマネジメント』(学陽書房,2014年)261頁

ここまでできる 実践 公共ファシリティマネジメント

ここまでできる 実践 公共ファシリティマネジメント