東京都葛飾区は3日、昨年5月に全面施行された空き家対策特別措置法に基づき、老朽化し倒壊の恐れのある空き家を行政代執行で取り壊す作業を始めた。所有者に取り壊しを求めたが、応じなかったため。所有者が判明している建物では全国でも珍しいという。
 対象は同区宝町の2階建ての木造住宅。道路側に大きく傾き、骨組みがむき出しになっている。隣に住む男性(74)は「風が強い日などはトタンや木片が落ちてくる」と話す。
 午前9時から区の委託を受けた業者が空き家の周囲に散乱するがれきを除去し、足場を組み立てた。3月中に作業を終える見込み。区は2006年に建物が空き家であると確認。昨年11月から所有者に取り壊すよう働きかけていた。「いずれ倒壊し、周辺に危険を及ぼす」(区担当者)と判断し、今回の措置をとった。
 特措法によると、市区町村は放置すれば倒壊したり、景観を損なったりする恐れがある空き家を「特定空き家」に指定できる。指定後は所有者に除去、修繕などの指導、勧告、命令を行い、従わない場合は行政代執行による強制撤去を認めている。

本記事では,葛飾区における行政代執行の実施を紹介.
同区では,「空き家対策特別措置法」に基づき,2016年2月29日現在,「通知」は「81棟」,「立入調査」は「27棟」,「助言・指導」は「8棟」,「勧告」は「6棟」,「命令事前通知」は「3棟」,「命令」は「2棟」,「戒告」が「2棟」の「措置」*1を実施.本記事では,同特措法では「「本気」で考えている」*2とも解された行政代執行の実施を紹介.「受命者不明事案」*3ではなく,受名者が明確な事案への実施であった模様.他の措置に基づく各事案側の対応は,要観察.

*1:葛飾区HP(くらしのガイド住まい・くらし住宅特定空家等に対する措置の実績)「特定空家等に対する措置の実績

*2:公益財団法人日本都市センター編『都市自治体と空き家』(公益財団法人日本都市センター,2015年)43頁

都市自治体と空き家―課題・対策・展望―

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*3:前掲注2・公益財団法人日本都市センター2015年:27頁