区議の報酬や政務活動費を議論してきた千代田区の「特別職報酬等審議会」のあり方が変わる。区民への報告義務のある政務活動費を、報告する必要のない報酬(給与)に組み入れるとする答申を出し、全国的に批判を浴びていた。十六日の区議会定例会に、審議会が政務活動費の議論をできなくする条例改正案が議員提案され、満場一致で可決した。 (木原育子)
 可決した条例改正案は、審議会の審議事項を「議員報酬等」から「議員報酬及び期末手当」に改める内容で、条文中の曖昧(あいまい)さを排除した。議会側は、政務活動費の議論を区議長が諮問する「審査会」に一本化したい狙いがある。
 だが、そもそも審議会が答申を出した発端は、昨年二月の区議会企画総務委員会で、一部区議が政務活動費も含めた「トータルな」報酬の議論を求めたことだった。区側は審議会の審議事項を「議員報酬等」と条例改正し、政務活動費も含めて議論できるように整えた。
 昨年末、区に出された答申には「議会の透明化の流れに逆行する内容」と批判が集中。石川雅己区長は、批判を意識した議会側と折り合いがつかなくなり、答申は宙に浮いている。
 ほぼ一年前に審議を重ねて条例改正した内容が、今回は区議会閉会日に、突然議員提案でひっくり返った。石川区長は「提案の理由がわからない」と困惑した様子。区によると、審議会の答申が無効となることはないという。

本記事では,千代田区における特別職報酬等審議会の取組を紹介.
2015年12月11日付の本備忘録でも記録した,同区における同審議会による答申.同年12月24日に提出された同答申では「職務と責任という視点から部長職を「100」とした場合の指数」*1を設け,「給料や報酬にとどまらず」「年収換算をした上で総合的に検討を進め」「目安となる指数」*2を示したものの,2016年1月21日付の同紙の報道の通り,改正条例案の提出は「見送り」*3とされた同提案.
本記事では,同区長が「区議会議員の議員報酬等の額並びに区長,副区長及び教育長の給料等の額」の「定め方を決めるため」に「意見を聞く」「特別職報酬等審議会」*4に関して,「千代田区特別職報酬等審議会条例」を改正し,2016年の「第1回定例区議会」*5において,「政務活動費の議論をできなくする条例改正案が議員提案され」「満場一致で可決」されたことを紹介.
「額を条例で定めるに当たつては,たとえば特別職報酬等審議会等の第三者機関の意見をあらかじめ聞くなどの配慮が求められる」*6との見解も示される政務活動費制度.同区における同審議会に代わる「第三者機関の意見」への配慮の仕組みの検討は,要確認.

*1:千代田区HP(区政総務・人事・職員特別職報酬等審議会千代田区特別職報酬等審議会(平成25年度から審議中))「答申」2頁

*2:前傾注1・千代田区(答申)2頁

*3:東京新聞(2016年1月22日付)「千代田区長、政活費付け替え見送り 議員報酬化「不透明」の批判受け

*4:千代田区HP(区政区の概要千代田区例規集)「千代田区特別職報酬等審議会条例」(昭和39年7月20日条例第30号)第1条

*5:千代田区HP(審議結果など:議案の審議結果など)「◇ 議案の審議結果等(平成28年第1回定例区議会) ◇

*6:松本英昭『新版 逐条地方自治法第8次改訂版』(学陽書房,2015年)390頁

新版 逐条地方自治法

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