川崎市横浜市認可保育所を初めて共同で整備した。今月開所し、川崎市内から五十二人、横浜市内から二十人を受け入れ、保育を行っている。 (小形佳奈)
 この保育所は、川崎市幸区南幸町三の「幸いづみ保育園」(定員九十人)で、今月一日に開所した。五階建ての特別養護老人ホームの最上階にあり、職員用の荷物室などとして使っていたワンフロアを改装、ゼロ〜五歳児の保育室やトイレ、シャワーなどを整備した。特養と同じ社会福祉法人が運営する。
 現在、五歳児はおらず、代わりに全市的に申込者数の多い一、二歳児を定員より多く受け入れている。小泉正子園長(67)によると「二、三歳児の中には認可外保育所から転園してきた子どももいる」という。子どもたちが新しい環境になじむのを待ち、特養の入所者との交流を予定している。
 幸いづみ保育園は、幸区横浜市鶴見区との境と百メートルほどしか離れていない。鶴見区に住む介護施設職員相馬奈津子さん(45)は、二歳の三女を車で片道十分かけて送り迎えする。自宅に最も近い鶴見区内の保育所を第一希望にしたが入れなかったという。「これまで娘を預けていた母が病気になったため、ここに入れなかったら仕事が続けられなかった」と相馬さん。
 両市は二〇一四年十月に「待機児童対策に関する連携協定」を締結。今回開所した保育所の整備費用は、定員配分と同じく、川崎六、横浜三の割合で負担した。入園審査や保育料の徴収はそれぞれの基準で行う。
 担当者によると、認可保育所を希望しながら入れなかった入所保留数は、川崎市が一月二十九日時点で昨年より二百七十一人多い三千七人、横浜市が三月九日時点で七百十四人多い三千七百九十人。両市は引き続き、共同で認可保育所を整備する方針だが、場所や開設時期は決まっていない。

本記事では,川崎市横浜市における待機児童対策の取組を紹介.
2014年10月に両市では「市境周辺の保育受入れ枠の確保」のため「どちらか一方の土地を両市が共同で活用する方策を検討」する目的に「待機児童対策に関する連携協定」*1を締結.両市間での「連携及び協力」事項としては,具体的には同協定第1条において「市境における保育所等の共同整備」,「特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業並びに横浜保育室及び川崎認定保育園の広域入所」,「保育士の確保対策」,「保育施策に関する研究及び情報共有」,「国等への要請」*2等が規定されている.本記事では,「合意された協定・協約に基づき制度化された協力関係」*3である同協定に基づき「共同整備」*4された保育所の開所を紹介.他の「連携及び協力」事項の実施状況も,要観察.