老朽化した世田谷区役所本庁舎の整備案について、保坂展人区長は九日の記者会見で「一度ニュートラルにして、区民や議会の議論を集約したい」と見直しの方針を示した。これまでの整備案には、一部保存による改修と全面建て替えの両案があり、全面建て替えを求める自民、公明の主要会派との調整が難航。一六年度一般会計予算案から、保存した場合の調査費約千万円を減額する議員提出の修正案が区議会で可決され、六十七年ぶりに予算案修正を余儀なくされた。(神野光伸)
 区は、有識者や公募で選んだ区民らでつくる「本庁舎等整備基本構想検討委員会」で四月に設置。新庁舎の規模や形、配置を検討し七月までに報告書を出してもらう。年内に基本構想をまとめ、設計者を選定した上で二〇年にも庁舎の解体・建設に着手したい考え。保坂区長は「委員会の議論を踏まえた結論を出していきたい」と述べた。
 一方、同じ場所で震度7が二回起きた熊本地震では自治体の庁舎が損壊し、防災拠点としてのあり方が問われた。世田谷区の本庁舎のうち、新耐震基準を満たさない第一、第二庁舎は大規模地震では業務の遂行が困難になる恐れもある。保坂区長は「大規模災害で庁舎が機能しなければいけない。(新庁舎の)要素として免震構造が前提になる」と説明した。
 区役所の第一、第二庁舎と、隣接する区民会館は、建築家の故・前川国男氏が設計。第一庁舎は一九六〇年に完成した。 

本記事では,世田谷区における本庁舎整備の方針を紹介.
同区では,2016年4月に「世田谷区本庁舎等整備基本構想の策定に向け」て「本庁舎等整備基本構想検討委員会」*1を設置.「平成28年7月」には「検討委員会報告書」を取りまとめ,同年「8月」に「基本構想(素案)」とし,同年「9月」に「パブリックコメント意見交換会」を実施,そして,同年「11月」に「基本構想(案)」*2を策定する予定が提示されている.庁舎に期待される「実務性」と「象徴性」*3の双方からの検討状況は,要観察.