製造段階で二酸化炭素(CO2)を出さない「CO2フリー水素」の実用化を目指している県と東京都、産業技術総合研究所(産総研)、東京都環境公社は17日、普及に向けた連携協定を結んだ。政府は平成32(2020)年の東京五輪・パラリンピックの選手村や燃料電池自動車などで県産水素を活用する方針で、4者が連携し水素の製造から輸送、貯蔵、利用までの体制を確立させる。
協定は研究開発、人材交流、情報発信が柱で有効期間は33年3月末まで。近く、同公社を事務局に4者や関係企業などでつくる連絡会議を設置する。風力などの再生可能エネルギーで製造したCO2フリー水素を大量に貯蔵、輸送できる技術の共同研究に着手する。29年度には実証段階に入る計画。県と産総研福島再生可能エネルギー研究所(郡山市)が研究を進めているが、協定を機に同公社研究員を同研究所で受け入れ、技術を共有する。地元企業の参入促進や産業集積が課題で、水素の地産地消による社会基盤整備に取り組む企業に対し、技術支援も行う。都によると、都内には現在、燃料電池自動車などに水素を供給する水素ステーションが11カ所ある。東京五輪が開かれる32年までに35カ所、42年までに150カ所に増設するという。水素エネルギーの活用を巡っては、安倍晋三首相が3月、県内を水素の一大供給拠点とする考えを表明し、福島新エネ社会構想実現会議が発足した。
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県庁で行われた協定締結式には内堀雅雄知事と舛添要一都知事、産総研の中鉢良治理事長、同公社の森浩志理事長が出席し、協定書を交わした。内堀知事は「再生可能エネルギー先駆けの地として、復興に向かう姿を全世界に発信していく」と述べた。
■「復興に向け都も努力」 舛添知事が県内視察
舛添要一都知事は17日、いわき市のJRとまとランドいわきファームやワンダーファーム、浪江町の請戸漁港などを視察後、県庁で内堀雅雄知事と会談し、「復興が道半ばだと痛感した一方で、県民がすごい努力で前に進んでいることも分かった。復興に向け、都も最大限努力していく」と述べた。
平成26年2月の就任後、舛添知事が東北地方の被災地を訪れたのは初めて。舛添知事は会談で「東北の復興なくして、2020年東京五輪・パラリンピックの成功はない」と持論を述べ、東京電力福島第一原発事故による風評の払拭(ふっしょく)や避難者の支援、観光振興などさまざまな面で連携を強化すると強調。都が制作した被災地復興支援DVDを内堀知事に贈った。
内堀知事は都からの職員派遣などに謝意を示し「2020年に『あの福島がここまで復興を進めたんだ』と実感してもらえるようにする」と話した。
本記事では,東京都と福島県における協定締結の取組を紹介.
同都県,同研究所,同公社間で締結された「CO2 フリー水素の活用に向けた」同協定に基づき,「四者の取り組みを連携」し「CO2フリー水素の活用」「再生可能エネルギー分野」での「研究開発」,「人材育成・人材交流」,「情報発信・成果普及」*1を実施する予定.概ね「行政主体間協定」*2とも整理できそうな同協定.具体的な実施状況は,要観察.
*1:東京都HP(これまでの報道発表:2016年:5月:CO2フリー水素の活用等に向けた福島県、産総研との協定の締結について)「東京都と福島県、産業技術総合研究所および東京都環境公社が CO2 フリー水素の活用に向けた連携・協力の協定を締結- 福島県産のCO2フリー水素の活用とそれを通じた福島県内の 再生可能エネルギー導入の推進を目指して -」(平成28年5月17日,東京都 福島県 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 公益財団法人 東京都環境公社)
*2:碓井光明『行政契約精義』(信山社,2011年)53頁