都議会の検討会が二十五日に明らかにした来年の都議選における議員定数の変更案では、現在の定数一二七を維持した上で、議員一人当たりの人口格差を縮小しようと、四つの選挙区の定数を変える「二増二減」案を打ち出した。人口が多いのに定数が少ない逆転の選挙区の組み合わせは現在十三通りあるが、変更案でも解消できず、六通りが残ることになる。
 現在の「逆転の組み合わせ」を全部解消するには、議員一人当たりの人口の多い選挙区の定数を六増やし、少ない選挙区の定数を六減らす「六増六減」の実施が必要とされるが、検討会は激変を避けるため二増二減にとどめたとしている。
 議員定数の改正は前回一三年の都議選前にも検討されたが、各会派で合意できずに見送った。今回も会派間で合意できなかったが、主要五会派の代表でつくる検討会座長の相川博都議(自民)は「何らかの結果を出さなければならない」と、座長案として変更案を発表したという。このため、来月一日開会の都議会定例会では座長案を不服とする共産が「六増六減」案、民進の旧民主系会派は全体の定数を六削減する案を提出するとしている。

本記事では,東京都議会における議員定数の変更方針を紹介.
2016年2月29日付の本備忘録で記録した同都議会における議員定数変更の検討.「平成 27 年国勢調査人口(速報値)」に基づく「条例定数と人口比例配分定数の比較」では,「新宿区」「墨田区」「大田区」「中野区」「杉並区」「北区」の各選挙区では「条例定数が人口比例配分定数」を「1」「上回」り,他方で,「江東区」「世田谷区」「練馬区」「江戸川区」「町田市」「北多摩第3」の各選挙区は「1」「下回」*1る.本記事によると,同都議会に設置された「検討会」では「激変を避けるため二増二減にとどめ」る方針が示されている模様.「民意表出機能」*2を伴う議員定数をめぐる定例会における審議結果は,要観察.

*1:東京都HP(各局のページ::東京都選挙管理委員会)「平成 27 年国勢調査人口(速報値)による都議会議員定数較差等の概要」1頁

*2:砂原庸介・稗田健志・多湖淳『政治学の第一歩』(有斐閣,2015年)63頁

政治学の第一歩 (有斐閣ストゥディア)

政治学の第一歩 (有斐閣ストゥディア)