総務省は14日、応援したい地方自治体に寄付すると2000円の自己負担を超える額が所得税や住民税から控除される「ふるさと納税」の最新の実態調査結果を公表した。2015年度の寄付総額は前年度比4.3倍の1653億円。寄付に対する高額返礼品を見直す動きも自治体側から出ている。
 同省は、ふるさと納税で受けられる控除の上限額が昨年から2倍に引き上げられたことなどが寄付金額の大幅増につながったとみている。自治体別では、宮崎県都城市が42億3100万円で最も多く、静岡県焼津市(38億2600万円)、山形県天童市(32億2800万円)と続く。

本記事では,総務省におけるふるさと納税現況調査の結果を紹介.
同調査によると,2015年度は「受入額」が「165,291,021」円,「受入件数」は「7,260,093」件となり,前年2014年度の「38,852,167」円,「1,912,922」件からそれぞれ「約4.3倍」,「約3.8倍」*1と,同年度において「ふるさと納税の勢い」*2が増した状況が窺える.このような「ふるさと納税の受入額及び受入件数が増加した主な理由」として同調査の回答自治体では,次のように考えている.それは,「ふるさと納税を募集する際の取組」では,「返礼品の充実」をしたことを理由と考えている自治体が最も多く「1,017自治体」「56.9%」,次いで「ふるさと納税の普及,定着」(999自治体,55.9%),「平成27年度における制度拡充(ふるさと納税枠の倍増,ふるさと納税ワ ンストップ特例制度の創設)」(791自治体,44.2%),「収納環境整備(クレジット納付,電子申請の受付等)」*3(766自治体,42.8%)となる.
ふるさと納税を募集する際の使途」では「ふるさと納税を財源として実施する事業等」の「選択」の可否は「選択できる」自治体が「1,623」「90.8%」,これらの内訳では「分野を選択できる」自治体が「1,381」「77.2%」,「分野又は具体的な事業を選択できる」自治体が「180」「10.1%」,「具体的な事業を選択できる」自治体は「62」「3.4%」,「選択できない」自治体が「163」「9.1%」*4と,分野選択型が大宗を占める.実際に「礼品を送付している」自治体は「1,618」「90.5%」*5,そして,「通知に沿った返礼品送付を行っており,見直しを行う必要はないと判断」する自治体は「1,448」「81.0%」*6となる.今後の活用状況は,要経過観察.

*1:総務省HP(広報・報道報道資料一覧2016年1月ふるさと納税に関する現況調査結果の概要)「ふるさと納税に関する現況調査結果」(平成28年6月14日 自治税務局市町村税課)2頁

*2:片山善博『民主主義を立て直す』(岩波書店,2015年)146頁

*3:前掲注1・総務省ふるさと納税に関する現況調査結果)5頁

*4:前掲注1・総務省ふるさと納税に関する現況調査結果)7頁

*5:前掲注1・総務省ふるさと納税に関する現況調査結果)11頁

*6:前掲注1・総務省ふるさと納税に関する現況調査結果)14頁