全国知事会は16日、東日本大震災からの復興を早期に成し遂げるための提言を今村雅弘復興相に提出し、対応を求めた。
 全国知事会東日本大震災復興協力本部長の上田清司埼玉県知事が東京の復興庁を訪れ、今村氏に「福島県原子力災害からの復興にさらなる財源をお願いしたい」などと述べた。今村氏は「着実に復興しているが、残された問題はある。パワーを付け、しっかり取り組む」とした。
 提言は7月の全国知事会議でまとめた。東京電力福島第一原発事故の早期収束、財政支援の継続、地方公共団体に対する人的支援の強化などを盛り込んだ。

本記事では,全国知事会における要請活動を紹介.
同会では,2016年8月16日に復興大臣に対して『東日本大震災からの復興を早期に成し遂げるための提言』*1を要請.要請内容は,「1 東京電力福島第一原子力発電所事故の早期収束」,「2 財政支援の継続,復興交付金等の手続の簡素化等」,「3 被災地方公共団体に対する人的支援の強化」,「4 住宅再建・復興まちづくり,鉄道復旧・道路整備等の促進」,「5 産業の復興,雇用対策の促進」,「6 被災者への総合的な支援の強化,東日本大震災の風化防止」の6項目でそれぞれ提言されており,合わせて49の「提言」*2が示されている.49の提言のうち「提言3-1」として「国による人的支援の強化等」も提示.具体的には,「被災地方公共団体に対する国・独立行政法人や民間企業からの中長期的な人員派遣」の「一層強化」とともに,「復旧・復興業務に従事する任期付職員を必要に応じて国において一括して採用し」「被災地方公共団体へ派遣する制度を早急に導入する」*3ことが提案されている.「広域災害に備えて」*4た同制度の提案.制度の検討状況は,要観察.

*1:全国知事会HP(活動研究資料全国知事会の活動委員会・プロジェクトチームなど委員会東日本大震災復興協力本部平成28年度平成28年08月16日 「東日本大震災からの復興を早期に成し遂げるための提言」の要請について)「東日本大震災からの復興を早期に成し遂げるための提言」(全国知事会東日本大震災復興協力本部)

*2:前掲注1・全国知事会東日本大震災からの復興を早期に成し遂げるための提言)

*3:前掲注1・全国知事会東日本大震災からの復興を早期に成し遂げるための提言)6頁

*4:稲継裕昭「広域災害時における遠隔自治体からの人的支援」小原隆治・稲継裕昭『震災後の自治体ガバナンス』(東洋経済新報社,2015年),187頁.

大震災に学ぶ社会科学 第2巻 震災後の自治体ガバナンス

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