県が来年4月に実施する現地機関の見直し案が13日、判明した。10地方事務所を改組する「地域振興局」のうち、上小上田市)を「上田」、下伊那飯田市)を「南信州」、北安曇(大町市)を「北アルプス」に地域名部分も合わせて名称変更する。他の7地域振興局は地事所の地域名を引き継ぐ。検討された地域振興局長の財政部門への予算要求権限の付与は当面見送り、現行通り各部局を経由した予算要求とする。
 地域振興局を「現場の最前線で責任を持って地域課題に向き合う現地機関」とし、企画振興部市町村課につながる組織から、各部局と同列に知事と副知事に直結させる。
 各地域ごとに、保健福祉事務所や建設事務所などの現地機関と連携して地域課題に対応するため「地域振興会議」を新設。地事所地域政策課企画振興係を「企画振興課」に格上げし、各現地機関のほか、市町村やNPOなどとの調整を進める。
 予算編成は、現行では地事所が本庁各部局に要求を上げ、財政課に提案する形だ。地域振興局が中心になり、課題解決を進めるため、要求権限の付与が検討された。だが、地域振興局長の職務が十分定まっていないことや、要求の窓口となる財政課を相当数増員しなければ対応できないといった点などを考慮。当面の見送りが決まった。
 県税事務所は、システム改修のため、課税部門については、17年度は10所のままで、18年度に4所に集約。徴収部門は10所を維持する。
 また、市町村と連携し地域課題の解決を進めるため、これまで少なかった市町村の幹部級職員との人事交流を積極的に進め、現地機関の管理職などに配置する。
 見直し案は15日の部局長会議で決定後、県民意見を募集。県会11月定例会に関連条例案を提出する方針。

本記事では,長野県における組織再編の方針を紹介.
同県に設置されている「行政機構審議会」では,2016年9月に『現地機関の組織体制を中心とした県の行政機構のあり方について(答申)』*1を知事に答申.同答申では,「現在の地方事務所に代え」「新たな県の総合現地機関として」「機能や権限を強化した」「地域振興局(仮称)」を「設置することが適当」*2との考えが提示.同答申では同局の設置に際しての「機能強化」の一つとして「「横断的な課題」に対応するために必要な予算,人員,権限の確保や地域の実情に応じた組織再編を可能とする仕組みの構築」*3が示されているなかで,本記事では,同局の「予算要求権限」に関して紹介.「現行通り各部局を経由した予算要求」とされる模様.
また,同答申では,他方で「保健福祉事務所や建設事務所」は「それぞれの専門性の発揮」と「危機管理対応等での迅速性を考慮し」「現行どおり単独の現地機関として存続」*4するとともに,従来「地方事務所が担ってきた税務業務」は「地域性よりも全県的共通性,専門性が求められる」として「独立した」「県税事務所(仮称)」*5の設置と,専門性の観点からの現地機構の「分立」*6案も答申されている.
同局が対処する「横断的な課題」*7の内容は,同局設置後,要観察.

*1:長野県HP(県政情報・統計組織・行財政審議会審議会等一覧長野県行政機構審議会「 長野県行政機構審議会(平成27年6月諮問))「現地機関の組織体制を中心とした県の行政機構のあり方について(答申)

*2:前掲注1・長野県(現地機関の組織体制を中心とした県の行政機構のあり方について(答申))2頁

*3:前掲注1・長野県(現地機関の組織体制を中心とした県の行政機構のあり方について(答申))3頁

*4:前掲注1・長野県(現地機関の組織体制を中心とした県の行政機構のあり方について(答申))2頁

*5:前掲注1・長野県(現地機関の組織体制を中心とした県の行政機構のあり方について(答申))3頁

*6:金井利之「空間管理」森田朗編『行政学の基礎』(岩波書店,1998年)166頁

行政学の基礎

行政学の基礎

*7:前掲注1・長野県(現地機関の組織体制を中心とした県の行政機構のあり方について(答申))3頁