県は、東日本大震災時に災害対応にあたった職員をデータベース化した「県職員災害対応人材バンク」を整備した。広域的な応援を要する大規模災害が発生した際、県が派遣する職員の選定に活用していく。こうした取り組みは神戸市に先例があるが、都道府県レベルでは初の試みという。
 県は、震災発生時に県職員として勤務し、現在、課長職以下の職員と、震災直後の2011年度に採用された職員を対象に、震災発生から12年3月までに従事した災害対応業務について調査を実施した。
 その上で、県や市町村の災害対策本部やボランティアセンターの運営に関わる業務、公共施設の現地調査や罹災りさい証明の調査など被害状況に関する調査、避難所の運営や仮設住宅の入居受け付けなど、業務を30種類に分類し、2574人を延べ4556件の業務に登録した。
 県は今年4月の熊本地震や10月の鳥取地震で、熊本県鳥取県の要請を受けて職員を派遣した。被災自治体からは「災害対応の経験者」を求められたが、当時はデータベースはなく、県人事課が東日本大震災発生当時の職員録を持ち出し、現在の持ち場に問い合わせるなどの手間がかかったという。県人事課は「震災対応時の職員がどの部署にいるか把握すれば、応援職員の選定にかかる手間を省略できる」としている。
 村井知事は、災害時に県職員を被災地に派遣することについて、「東日本大震災で多大な支援を受けた本県の責務」とした上で、「被災地から求められる支援ニーズとのマッチングを円滑に進めていきたい」と話している。
 ◆経験生かし活躍 派遣の職員
 熊本地震鳥取地震では、現地に派遣された県職員が東日本大震災の経験やノウハウを生かして活躍した。
 建築宅地課技術補佐の小出昇さん(52)は、熊本地震の被災地で家屋の危険度を緊急的に判断する「応急危険度判定」に従事した。3班計20人が現地に派遣され、「宮城から派遣された職員は経験がある分、手際よく仕事を進められた」と胸を張る。鳥取地震の被災地にも職員10人が派遣されて同様の業務に当たり、小出さんは「あらかじめメンバーが想定されていれば、チームとしても組みやすくなる」と話す。
 生活環境部技術次長の阿部勝彦さん(60)も発生直後に熊本県へ派遣された一人。東日本大震災後、石巻市などの震災がれきの処理を担当しており、災害廃棄物の分別処理や再資源化などの手法や計画作りに向け、経験を伝授した。その後も熊本県の担当者から長期的な視点でのアドバイスを求められたという。阿部さんは「せっかくの経験は何物にも代え難い財産。必要としている所へ、様々な局面でピンポイントに派遣することが重要」と指摘する。今年度末で定年を迎えるが、阿部さんは「OBの立場ででも、いざその時に声がかかれば、役に立ちたい」と話している。

本記事では,宮城県における「宮城県職員災害対応人材バンク*1の取組を紹介.
同県では「被災地から求められる支援ニーズとのマッチングを図り」「災害発生時における迅速な支援体制を構築するため」,同県の「知事部局,企業局,議会事務局」,「知事部局からの出向職員」を対象に「教育庁」,そして「各種委員会に在籍」し,「震災発生時」に同県「職員として在職し」,まずは「再任用職員を除」き,さらに「相当職を含む」「課長職」「以下の職員」と「平成23年度の新規採用職員」を「対象」に,「震災発生時から」2012年「3月までの間に従事した災害対応業務」を「30区分に分類」したうえで「東日本大震災対応業務調査を実施」*2.同調査結果を踏まえて,同「人材バンク」を「整備」.
人材バンクでは,「登録職員数」は「調査対象職員」であった「3,883 人のうち」「上記」の「対象業務に従事した職員」が「2,574人」を登録し,「業務件数」としては「4,556件」*3が「登録」されている.具体的には,「災害対策本部,ボランティアセンター業務」が「821件」,「被害状況調査業務」が「975件」,「避難所・仮設住宅入居者業務」が「804件」,「市町村応援業務」が「1,246件」,「その他災害対応業務」が「710件」*4となる.「広域災害」*5を想定された同取組.同人材バンクの公表された場合,登録内容は,要確認.

*1:宮城県HP(分類でさがす県政・地域情報分類県政情報・財政知事室知事室知事記者会見宮城県知事記者会見(平成28年12月19日))「宮城県職員災害対応人材バンクについて」(記者発表資料 平成28年12月19日 総務部人事課人事班)

*2:前掲注1・宮城県宮城県職員災害対応人材バンクについて)

*3:前掲注1・宮城県宮城県職員災害対応人材バンクについて)

*4:前掲注1・宮城県宮城県職員災害対応人材バンクについて)

*5:稲継裕昭「広域災害時における遠隔自治体からの人的支援」小原隆治・稲継裕昭『震災後の自治体ガバナンス』(東洋経済新報社,2015年),187頁.

大震災に学ぶ社会科学 第2巻 震災後の自治体ガバナンス

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