東京都豊島区は介護保険サービスと、家事などの保険外サービスを組み合わせる「混合介護」を、国の国家戦略特区制度を利用して始める方針を固め、都と協議を進めている。介護保険利用者にとって使いやすい制度にすると同時に、介護職員の賃金向上につなげたいという。今年度中に特区申請し、2018年度導入を目指すとしており、認められれば全国初となる。
 区は17年度予算案に、有識者会議を設けるなどサービス提供の仕組み作りに取り組む費用約600万円を計上する予定だ。
 現状の介護保険法は混合介護を禁じているわけではなく、厚生労働省は保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供することを認めている。しかし、両サービスを「明確に区分する」など一定の条件を求め、両サービスを「同時・一体的」に提供することはできない。
 例えば、保険サービス利用者の食事を準備してもらう際、同居している家族の分(保険外サービス)を作ってもらうことはできない。一方、混合介護では家族分の食事も作ってもらえる。ただし、家族分は全額、自己負担となる。
 混合介護を巡っては、昨年9月に公正取引委員会が混合介護の弾力化を求める報告を公表し、それを受けて政府の規制改革推進会議が、混合介護の容認について重点項目の一つとして検討を始めた。業界からは「生産性が向上する」など歓迎する声も上がるが、自民党内からは「混合介護の内容があいまいで唐突な議論だ」と反発が出ている。経済格差によって受けられるサービスに差が生じかねないことも課題となる。
 厚労省は大幅な弾力化や全面解禁について「不明朗な形で高額な料金が徴収されたり、必要な保険サービスが受けられなくなったりするおそれがある」と慎重な姿勢だ。
 一方、現状について「使い勝手が悪い」との指摘もあり、東京都の小池百合子知事が昨年11月、特区を活用した混合介護の推進を表明。保険制度の運営主体である市区町村と協議を進めてきた。豊島区介護保険課は「介護保険制度は自立支援が目的。適切な内容のサービスを受けられるようにするなど、慎重に取り組む必要がある」と話している。【五味香織、山田泰蔵】

本記事では,豊島区と東京都における国際戦略特区の取組方針を紹介.
現在,本記事でも紹介されている通り,内閣府に設置されている「 規制改革推進会議 」の「医療・介護・保育ワーキング・グループ」では,介護保険制度における「高齢者が地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう支える選択肢を充実させていく観点などから」,「保険給付と保険外サービスの柔軟な組合せ」に関する「現行制度について改善の方策はないか」*1との問題意識から「保険外サービスとの併用に係るルールのあり方」を「検討」*2課題を検討.本記事によると,同区では,同制度を通じて「混合介護」の実施を同「都と協議」を開始している模様.
「混合介護」の実施に関する「一定の条件」*3の検討状況は,要観察.