地方自治体の監査制度を抜本強化するため、政府が20日召集の通常国会地方自治法改正案を提出することが分かった。
 監査基準の策定と公開を自治体に義務づけるほか、監査結果の重要な指摘については、監査委員が自治体に対し是正を勧告できるよう、制度を新設する。監査制度の抜本改革は、外部監査制度を導入した1997年以来。2020年度からの実施を目指す。
 法改正ではこのほか、「名誉職化している」といった批判がある議員の監査委員を自治体の判断で「ゼロ」にできるようにするほか、情報技術(IT)分野など高い専門性が求められる監査では、有識者の監査専門委員を任命できるようにする。
 総務省によると、地方自治法には監査基準に関する規定がなく、15年4月現在、859自治体(48・1%)が基準を設けていない。監査で指摘を受けた場合も、扱いは自治体の裁量に委ねられている。47都道府県と18の政令市を対象に会計検査院が実施した、08〜10年の国庫補助事業に関する経理状況の調査では、架空発注により業者に裏金をプールする「預け」などの不正経理が、すべての自治体で行われていたことが判明した。
 昨年3月には政府の地方制度調査会が「監査の成果を十分に生かせず、住民から見ても分かりにくい状態」と指摘、改善を求めていた。

本記事では,総務省における地方自治法改正案の通常国会への提出方針を紹介.
2016年3月2日付の本備忘録にて記録した,「監査による監視機能を高めるため,監査の実効性確保のあり方,監査の独立性・専門 性のあり方,監査への適正な資源配分のあり方について,必要な見直し」を答申した第31次地方制度調査会による『人口減少社会に的確に対応する地方行政体制及びガバナンスのあり方に関する答申』*1.本記事では,同答申内にて「統一的な監査基準の必要性」*2と示された答申内容の制度化案を紹介.加えて同答申では,「当該監査基準の内容」は「地方分権の観点から, 国が定めるのではなく,地方公共団体が,地域の実情にも留意して,専門家 や実務家等の知見も得ながら,共同して定めることが適当」*3と示されている.
自治体行財政に対する規律付け」*4として具体的な改正案は,公表後,要確認.

*1:総務省HP(組織案内審議会・委員会・会議等地方制度調査会)『人口減少社会に的確に対応する地方行政体制及びガバナンスのあり方に関する答申』(平成28年3月16日)15頁

*2:前掲注1・総務省(人口減少社会に的確に対応する地方行政体制及びガバナンスのあり方に関する答申)16頁

*3:前掲注1・総務省(人口減少社会に的確に対応する地方行政体制及びガバナンスのあり方に関する答申)16頁

*4:伊藤正次「第31次地方制度調査会における「ガバナンス」」『都市問題』Vol.107,2016年10月,46頁

都市問題 2016年 10 月号 [雑誌]

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