福井県内の自治体で、職員採用試験の申込書から性別欄を削除する動きが出てきた。
 越前市が今年度から始め、敦賀市も続いた。体と心の性が一致しない「トランスジェンダー」への配慮で、越前市の担当者は「人物重視の採用で、男女の区別は意味がない。もっと多くの自治体に広がれば」と話す。
 同市ではこれまで、申込書で男女の性別についてチェックする箇所があった。しかし、昨年度の採用活動の際、受験者から性別欄の記入を求められると困るとの相談があり、検討した結果、人物重視で職員を採用していることや、性別欄を削除しても実務上支障がないことなどから、性別欄は不要と判断した。
 3年前から新規採用職員らに対して性的少数者(LGBT)への理解を深める研修を行っていたことも後押ししたという。総務省公務員課によると、今回の取り組みは全国的にも珍しく、県内自治体では初めて。
 電通ダイバーシティ・ラボのインターネット調査(2015年)では、LGBTは国内でおよそ13人に1人いるとされる。
 敦賀市越前市に追随し、今年度の採用試験の申込書から性別欄を削除した。敦賀市の担当者は「性別で採用を決めているわけではないし、同じようにトランスジェンダーの受験者が戸惑っているかもしれない」と説明する。
 越前市では今年度から、LGBTの研修を管理職にも広げて、受け入れ態勢を整える。同市の川崎規生・行政管理課長は「行政が率先して少数者に配慮する施策を行うことで、少数者への理解が世間にも広がっていってほしい」と話す。
 県市町振興課によると、2市以外の県内自治体と県では、採用申込書に性別欄を残しているという。
 また、民間では通信大手のKDDIが2年前からエントリーシートから性別欄をなくすなど、一部企業が既に取り組んでいる。(蛭川真貴)
 ◆LGBT=性的少数者の総称。女性同性愛者の「レズビアン(Lesbian)」、男性同性愛者の「ゲイ(Gay)」、両性愛者の「バイセクシュアル(Bisexual)」、心と体の性が一致しない人を指す「トランスジェンダー(Transgender)」の頭文字を組み合わせた言葉。東京都渋谷区や三重県伊賀市など一部自治体で、同性カップルを「結婚に相当する関係」として、パートナーとして認める証明書を交付するなどの動きも出ている。

本記事では,越前市及び敦賀市における職員採用の取組を紹介.
両市ともに職員採用の申請に際しては,「電子申請」*1*2を採用しており,実際の「申込書」は確認はできないものの,本記事によると,両市ともに「職員採用試験の申込書から性別欄を削除」した模様.「資格任用制」*3の実施とも整理ができそうな同取組.両市の申請書は要確認.

*1:越前市HP(市の仕事でさがすその他の業務人事・採用)「電子申請による受験申込のながれ

*2:敦賀市HP(市政情報職員採用情報職員採用試験)「敦賀市職員採用候補者試験(電子申請の流れ)

*3:伊藤正次,出雲明子,手塚洋輔『はじめての行政学』(有斐閣,2016年)143頁

はじめての行政学 (有斐閣ストゥディア)

はじめての行政学 (有斐閣ストゥディア)