総務省有識者研究会は16日、大規模災害の際の地方自治体による応援職員の派遣を巡る報告書をまとめ、高市早苗総務相に提出した。災害対策で陣頭指揮をとった経験がある幹部職員を事前登録する制度の創設を提言。総務省消防庁で研修などを実施し、災害発生時に被災自治体からの要請に応じて派遣する。総務省は実施に向けた検討を進める。
 被災自治体では、災害対策のノウハウが不足していたり、マネジメント機能が低下していたりするケースがある。昨年4月の熊本地震では、被害が大きかった熊本県阿蘇村に防災対策経験がある東京都の幹部職員が派遣され、運営の混乱が抜本的に改善したという。
 被災自治体に職員を派遣する都道府県や政令指定都市を決める際、全国知事会全国市長会などが中心となって円滑に調整する新たな仕組みを導入すべきだとも提言した。

本記事では,総務省における被災地応援職員に関する制度の検討結果を紹介.
同省が,「全国的な応援職員派遣(短期)を被災市町村のニーズに応じ」「迅速に行うための仕組み」と「行政機能が著しく低下した被災市町村に対する」「マネジメント支援のための職員派遣の仕組み」の検討のため,2017年3月に設置した「大規模災害からの被災住民の生活再建を支援するための応援職員の派遣の在り方に関する研究会」*1.本記事では,同研究会による報告書*2総務相に提出されたことを紹介.同報告書では,主に次の2つを提案している.一つめは,「各地方公共団体の自主的な応援職員の派遣を基本」としつつも,「緊急に一定規模の応援職員の派遣を実施しないと」「被災住民の生活再建の推進に重大な支障を生じるおそれがある場合など」「被災市区町村応援職員確保システム」では「対応が困難と認められる場合に」,「例外的に,災害対策基本法第 74 条の2の規定に基づく」「内閣総理大臣による応援の求めを実施すべき」*3であることを提案.二つめは,「被災市区町村の首長が行う」「災害マネジメント」を「総括的に支援」し,「総務省への登録制」による「災害マネジメント総括支援員」*4の構築も提案している.「情報事前蓄積型人的支援体制」*5とも整理ができそうな同提案.制度化の内容は,要観察.

*1:総務省HP(組織案内研究会等)「大規模災害からの被災住民の生活再建を支援するための応援職員の派遣の在り方に関する研究会

*2:総務省HP(広報・報道報道資料一覧:2017年6月)「「大規模災害からの被災住民の生活再建を支援するための応援職員の派遣の在り方に関する研究会」報告書の提出」(平成29年6月16日)

*3:前掲注2・総務省(「大規模災害からの被災住民の生活再建を支援するための応援職員の派遣の在り方に関する研究会」報告書の提出)11頁

*4:前掲注2・総務省(「大規模災害からの被災住民の生活再建を支援するための応援職員の派遣の在り方に関する研究会」報告書の提出)22頁

*5:稲継裕昭「広域災害時における遠隔自治体からの人的支援」小原隆治・稲継裕昭『震災後の自治体ガバナンス』(東洋経済新報社,2015年),184頁.

大震災に学ぶ社会科学 第2巻 震災後の自治体ガバナンス

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