世田谷区は十二日、倒壊の恐れがある区内の空き家を、都内の区市町村では初めて民法の規定を利用して解体したと発表した。二〇一五年に空き家対策特別措置法が施行され、行政が強制的に解体できる代執行がやりやすくなったが、所有者に通知をすることが条件。今回は誰のものか分からず、代わりに民法に基づいて弁護士を財産管理人にし、解体に踏み切った。
 解体されたのは同区北烏山の木造平屋(約二十五平方メートル)。住民の話では一九五五年ごろには人が住んでいたとみられるが、区の調査で所有者が特定できなかった。空き家状態が長年続き、住民らから苦情が寄せられるようになったこともあり、区は東京家裁に財産管理人の選任を申し立て。今月三日に弁護士の了解を得て解体した。

本記事では,世田谷区におけるいわゆる「空き家」への対応を紹介.
「本来所有者等の責任」で「空き家の修繕や除却等」を「行うべき」ものの「行方不明や相続人が不存在の場合」*1がある.同区では「著しく管理不全」である「特定空家等」に対して,「区の調査」では「所有者の所在が不明であったため」,「不在者がその財産の管理人を置かなかったときに家庭裁判所」が「利害関係人等の請求」で「その財産の管理」への「必要な処分を命ずることができる」「民法の不在者財産管理人の仕組み」により,「当該建物を解体」*2.同仕組みを採用することで同区では,「建物の解体,敷地の売却などの手続を一連で進める」*3こととなる.他の空き家への対応手法の採用状況も,要観察.

*1:北村喜宣・ 米山秀隆,・岡田博史『空き家対策の実務』(有斐閣,2016年)155頁

空き家対策の実務

空き家対策の実務

*2:世田谷区HP( くらしのガイド区政情報世田谷区について区長の部屋記者会見区長記者会見(平成29年7月12日))「所有者不明の著しく管理不全な空家の解体について

*3:前掲注2・世田谷区(所有者不明の著しく管理不全な空家の解体について)