京都市が9月議会に提案予定の「京町家保全・継承条例」の骨子案について、市民らを対象にした説明会と意見募集が終了した。説明会では、京町家の維持管理に多額の費用がかかると所有者が訴え、助成策が市から明確に示されないことに不満が噴出。条例制定の延期を求める声も出た。
 「積極的な支援策がないと、京町家はなくなりますよ」。6月下旬に下京区で開かれた説明会では、京町家の居住者が、市が課税する固定資産税の減免を検討するように求め「京町家の保全が大事と言うが、住み続けるメリットは何か」と質問した。市担当者からは具体的な回答がなく、ピリピリした雰囲気に包まれた。
 中京区での説明会でも、所有者から「京町家の改修には1千万円以上かかる。市の助成金は額が少な過ぎる」と意見が出たほか、地震や火災への不安、相続税対策で京町家が失われる実情が訴えられた。
 歴史的な街並みを象徴する京町家は、この7年間で4万8千軒から4万軒に減少した。骨子案は歯止め策として、全ての京町家の所有者に取り壊しの事前届け出を努力義務とした。その上で、京町家の集積地区は1年前までの届け出を義務化。景観や文化的に重要な京町家は、違反者に行政罰の過料(上限5万円)を徴収する規制を盛り込んだ。
 事前届け出制は取り壊しまでの時間を確保し、市が継承や流通方法の提案、活用希望者とのマッチングを行う「支援策」だが、所有者が住み続けるための資金的な支援策は、市から具体的に説明されていない。
 そのため6〜7月に市民ら229人から795件が集まった意見募集でも、京町家保全の支援策を具体化したり、現状の助成制度の拡充を求める声が計87件あった。固定資産税や相続税の負担軽減を指摘する意見も41件寄せられた。
 説明会と意見募集を踏まえ、都市計画局は「条例案を審議する9月議会には支援策の方向性を示したい」としている。

本記事では,京都市における京町家の保全及び活用の方針の検討状況を紹介.
2016年9月23日付の本備忘録で記録した,同市における同取組.同備忘録で記録した「京都市京町家保全・活用委員会」からは2017年5月に「答申」*1が同市長に提出.同答申では「取り壊しに関する事前届出制度」*2が提案.同市では,「「京都市京町家の保全及び継承に関する条例(仮称)」骨子(案)」*3を作成し,2017年「6月2日」から同年「7月2日」までの間で「市民意見」を「募集」.本記事では,同募集とあわせて4回開催された「説明会」*4の結果を紹介.「「できる」と規定」*5されうる同制度.条例化にむけた検討過程は,要観察.