17日で阪神大震災23年
 総務省は来年度以降の大規模災害時に、被災市町村の首長の災害対応を補佐する「災害マネジメント総括支援員」を派遣する。47都道府県と20政令市で、被災地での業務経験などがある課長級以上各1人、計67人を事前に登録する。緊急時に速やかに被災市町村に入り、支援ニーズを把握。派遣元の自治体を中心に応援職員を受け入れ、早期の自治体機能の回復、迅速な復旧につなげる狙いだ。阪神大震災から17日で23年。教訓を生かす新たな支援制度が始まる。
 災害時の被災市町村には、避難所運営や家屋被害認定と罹災(りさい)証明書発行、仮設住宅入居手続きなど膨大な業務が発生する。しかし、被災経験があまりない自治体の場合、効率的に業務を進められず、応援の自治体職員やボランティアが来ても配置に偏りが生じるなどして混乱することも多い。
 こうしたことから、経験のある総括支援員が早期に現地入りし、業務の見通しや対処法について被災自治体の首長に助言する制度を新設することにした。派遣元の都道府県などと連絡を取り、必要な応援職員の職種や人数を調整する。計画では、支援員は最新の災害対応事例を学ぶ研修を年2回程度受講。各地の被災地に派遣し、災害対応のプロとして養成する。今年度中に必要な手続きについて要綱でまとめ、各都道府県と政令市に通知する。
 災害時の緊急支援では、医師や看護師をまとめて派遣する災害派遣医療チーム「DMAT」が知られており、全国知事会はこれを参考に、被災を経験した県などが被災した県を支援する「行政版DMAT」構想を提唱している。今回の総括支援員を中心とした支援チームは、この「市町村版」といえる。【井上元宏】

本記事では、総務省における被災地応援職員に関する制度の取組方針を紹介。
2017年6月20日付の本備忘録では、検討結果として記録した「「災害マネジメント総括支援員」制度」*1。本記事によると「来年度以降」「47都道府県と20政令市」で「被災地での業務経験などがある課長級以上各1人、計67人を事前に登録」する方針の模様。「情報事前蓄積型人的支援体制」*2となる、「それと一体を成す」とされた「被災市区町村応援職員確保システム」の「構築」*3過程も要観察。

*1:総務省HP(組織案内研究会等大規模災害からの被災住民の生活再建を支援するための応援職員の派遣の在り方に関する研究会)『大規模災害からの被災住民の生活再建を支援するための応援職員の派遣の在り方に関する研究会報告書』(平成29年6月16日)21〜27頁

*2:稲継裕昭「広域災害時における遠隔自治体からの人的支援」小原隆治・稲継裕昭『震災後の自治体ガバナンス』(東洋経済新報社、2015年)184頁.

大震災に学ぶ社会科学 第2巻 震災後の自治体ガバナンス

大震災に学ぶ社会科学 第2巻 震災後の自治体ガバナンス

*3:前掲注1・総務省(大規模災害からの被災住民の生活再建を支援するための応援職員の派遣の在り方に関する研究会報告書)21頁