アルコールやギャンブル、薬物などの依存症に苦しむ人の悩みを聞き、適切な医療機関自助グループに紹介する専門員「依存症相談員」を、長野県が来年度から、県精神保健福祉センター長野市)に配置する。急増する依存症の相談件数や、依存症患者に対応する目的だ。県関係者への取材でわかった。
 依存症相談員は、依存症問題に専従。センターで週4〜5日、午前8時半から午後5時15分まで、電話や面談で相談を受けつける。これまではセンターのスタッフが、他業務と兼務するなどして対応してきたという。
 センターが1年間に受けつける対面での相談件数は、2011年度には114件だった。しかし14年度には287件に倍増、16年度には499件にのぼった。背景には、依存症への世間の理解が進み相談しやすくなっていることや、15年度に県が依存症に対する独自の回復プログラムを作って、対策に乗り出したことなどがあるとみられる。
 依存症の問題に詳しい国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の樋口進院長は「依存症の治療には、患者を、適切な医療機関などへ早期に橋渡しすることが重要だ」と指摘し、専従の相談員の新設を評価する。
 アルコール依存症をテーマに、長野市内で1月27日に行った「かかりつけ医と精神科医の連絡会議」での特別講演では、北信地方などの医療関係者約30人を前に、「治療を受けなければならないのに、受けていない依存症の患者が多いのが現状。ただ、そういう人も病院には行っている。それなのに治療を受けられていないのは、専門の医療機関に行けていないから。医療機関が連携するなどして、患者を適切な専門医で受診させることが必要だ」と呼びかけた。
 精神科の受診が必要な患者が内科を受診するといった状況は「治療ギャップ」といわれ、専門の相談員の配置や、医療機関の連携などで改善が期待できるという。

本記事では、長野県における依存症対策の取組方針を紹介。
現在、同県では「精神保健福祉センター」にて「電話での相談や来所による相談等」の配置や「同じ悩みを持つ人や家族のグループ活動」*1を実施。「依存症」に関しては、両相談とともに、「グループミーティング」として「依存症に関する正しい知識や理解を深め、アルコール、薬物、ギャンブルに頼らない生き方を目指す仲間が集ま」る「依存症当事者グループ」と「同じ悩みを持つ家族と気持ちを共有しながら、本人への対応などを話しあう」「依存症家族グループ」*2を開催。本記事によると、2018年度からは、従来の「他業務と兼務」の体制から「専門員」として「依存症相談員」を配置する方針の模様。「依存症の問題に専念」*3することとなるような同相談員。配置される相談員の職務内容は、要確認。

*1:長野県HP(長野県精神保健福祉センター)「相談のご案内

*2:前掲注1・長野県(相談のご案内)

*3:信濃毎日新聞取材班『依存症からの脱出 つながりを取り戻す』(海鳴社、2018年)151頁

依存症からの脱出: つながりを取り戻す

依存症からの脱出: つながりを取り戻す