大井川和彦知事が昨年の知事選で公約に掲げ、早期の制定を目指すとしていた「多選禁止条例」について、県は8日、県議会最大会派いばらき自民党政調会に原案を提示した。在任期数の上限を「連続4期」と明記する一方、多選を禁止でなく自粛とする努力義務にとどめた。対象を大井川知事に限定せず、今後就任する知事に縛りをかける恒久的な内容とした。原案を巡り、自民党内には賛否両論があり、条例化には曲折が予想される。
 条例案の名称は「県知事の在任期間に関する条例」で、第1条「目的」と第2条「在任期間」の計2条で構成。1条は「知事が幅広い権限を有する地位にあることに鑑み、(中略)県政の新陳代謝を図る」と目的を示した。2条は「連続4期を超えて在任しないよう努める」と、在任期間の制限に努力義務を課した。
 同党県連関係者によると、この日の政調会では期数が焦点となり、賛否両論が出た。昨年8月の知事選で7選を目指した橋本昌前知事の多選が争点となった経緯から、「3期にとどめるべき」と反対する意見が出た一方、人口減少対策や公共事業などの完遂を図るには「4期もやむなし」と容認意見もあったという。
 自民党本部の選挙対策要綱は、知事選と政令指定都市の市長選に関し、公認・推薦を行うのは「連続3期まで」と定めている。知事選で大井川知事を推薦し全面的に支援した自民県連は今後、党要綱を踏まえつつ条例案の内容を精査して議論を重ねる方針。
 首長の多選禁止条例を巡っては、総務省の研究会が2007年、多選制限は憲法に反しないとした上で、制度化する場合は地方自治法などの法整備が必要との見解を示している。
 今回の条例案は多選制限を「自粛(努力義務)」にとどめ、法的拘束力のない形としている。県は有識者の意見などを踏まえ、禁止でなく自粛であれば、国の立法措置がない現状でも将来にわたる多選制限を含め違法性がなく、条例制定は可能と判断している。
 他県では埼玉と神奈川が連続3期を超える在任制限条例を制定。しかし、神奈川は施行されず、埼玉は上田清司知事が自ら条例を破り4期目に当選している。
 大井川知事は3月の県議会で同会派から早期の条例制定を求められた際、「予算案の審議を経て、来年度(18年度)間を置かずに制定を進めていきたい」と答弁していた。望ましい期数についてはこれまで、「3期か4期が一つの目安」としている。
 知事の在任期間(1期4年)について、総務省研究会が報告した07年末当時は3期8人、4期5人、5期以上はゼロだった。今年4月現在では3期14人、4期11人、5期以上が2人と、近年は期数が延びる傾向にある。一方、戦後の本県知事の平均在任期間は4・5期となっている。(黒崎哲夫)

本記事では、茨城県における知事の在職期間に関する取組方針を紹介。
同県では、2017年10月に開催された「第3回定例会」にて「知事の多選禁止条例を一期四年の任期中に制定する」*1方針が提示。本記事では、条例の原案の規定を紹介。在職期間は「連続4期を超えて在任しないよう努める」案となされた模様。「首長の任期には制限はな」*2いなかでの条例化の取組。今後の審議状況は、要観察。

*1:茨城県HP(茨城を知る県のご案内知事のページ知事発言集平成29年定例会)「平成29年第3回定例会(知事提案説明要旨)

*2:北村亘、青木栄一、平野淳一『地方自治論 2つの自律性のはざまで』(有斐閣、2017年)15頁。

地方自治論 -- 2つの自律性のはざまで (有斐閣ストゥディア)

地方自治論 -- 2つの自律性のはざまで (有斐閣ストゥディア)