東京都の小池百合子知事は29日の記者会見で、大学研究者による事業提案制度を創設すると発表した。地域振興や高齢化などの行政課題を解決する提案を募り、調査費や事業費を補助する。財源は2019年度予算案に盛り込む方針だ。
 都内の大学、短大に所属する研究者を対象に、9月まで事業の提案を受け付ける。有識者が審査するほか、インターネット投票で都民から提案事業への意見を募り、知事査定を経て19年度予算案に反映させる。
 採択した事業の研究・調査費は年3000万円を上限に補助する。事業の実施に必要な費用は、年間で1件あたり最大2億円を用意する。支援期間は3年とする。
 8月には10〜20の大学の学長らと知事が政策を議論する懇談会を開く。東京の国際競争力の向上などをテーマに意見交換する予定だ。
 小池知事は「20年の五輪の成功はもちろん、その後の人口減社会で東京を持続的に成長させるためにも大学と連携を深めたい」と語った。
 一方、18年度予算編成から導入した都民からの事業提案制度も拡充する。提案者の対象を都民だけでなく他県からの通勤・通学者にも広げ、スマートフォンから提案できる仕組みにする。募集テーマも子育て支援働き方改革などの対象テーマを6から10に増やす。

本記事では、東京都における予算編成の取組を紹介。
同都では、「東京に集積されている知」を「都政の喫緊の課題解決や東京の未来の創出に資する政策立案へと活用する」ことを目的に、「都内大学研究者からの研究成果、研究課題を踏まえた事業提案」の「募集」*1を実施。「原則2年以内」「最大3年間」で「可能な限り早期に行政課題の解決へと繋げることができる提案」を求め、「対象分野」は「防災力の向上、都市インフラの整備」、「まちの元気創出、安全・安心の確保」、「少子・高齢化等を見据えた東京のまちづくり」、「医療が充実し健康に暮らせるまちづくり」、「環境先進都市・東京の実現」、「東京の経済活動、農林水産業の活性化」、「国際観光都市・東京の実現」*2の7項目。
同提案に対して、同都は「研究者・大学が行う研究調査、連携調整に要する経費」を「単年度当たり3千万円を上限」に「支援」するとともに、「研究調査の実施に当た」り、同都が「有する施設等の優先的な提供」し「単年度当たり2億円を上限」に「研究成果等を活かし」、同都と「研究者・大学と連携して行う連携事業を実施」*3。、2017年9月19日付の本備忘録で記録した都民提案制度に加えて、「予算過程」に大学の「声を直接反映させる」*4同取組。提案内容は、要観察。

*1:東京都HP(都政情報報道発表これまでの報道発表 報道発表/平成30(2018)年 6月)「大学研究者による事業提案制度 募集を開始します!」(2018年06月29日 財務局)

*2:前掲注・東京都1(大学研究者による事業提案制度 募集を開始します)

*3:前掲注・東京都1(大学研究者による事業提案制度 募集を開始します)

*4:沼尾波子・池上岳彦・木村佳弘・高端正幸『地方財政を学ぶ』(有斐閣、2017年)81頁

地方財政を学ぶ (有斐閣ブックス)

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