総務省は6日、ふるさと納税の2017年度の寄付総額が前年度比約1.3倍の3653億1700万円になったと発表した。制度の利用が増えて5年連続で過去最多を更新した一方、伸びは鈍化。多くの自治体が高額返礼品を見直したことが影響したとみられる。
 自治体別の寄付受け入れ額は、大阪府泉佐野市が135億3300万円で初の1位になった。2位は宮崎県都農町の79億1500万円で、前年度1位だった同県都城市は74億7400万円で3位となった。
 ふるさと納税は、応援したい自治体に寄付すると、寄付額から2000円を引いた分が所得税や住民税から控除される仕組み。ほとんどの自治体が寄付者に返礼品を贈っており、近年は豪華な返礼品を目当てに寄付する人が増えている。

本記事では、総務省におけるふるさと納税に関する現況調査の結果について紹介。
2016年6月16日付の本備忘録では2015年度、2017年8月5日付の本備忘録では2016年度の同制度による受入額等を記録。本記事で紹介された2017年度の「調査結果」によると、2017年度では「受入額」が「365,316,666」円,「受入件数」は「17,301,584」件となり、前年度からはそれぞれ「約1.28倍」「約1.36倍」*1となっている。
ふるさと納税を募集する際の使途」では、「ふるさと納税を財源として実施する事業等」の「選択」の可否は「選択できる」自治体が「1,690」自治体(「94.5%」*2)と微増。これらの内訳では「分野を選択できる」自治体が「1,609」自治体(「90.0%」)、「具体的な事業を選択できる」自治体が「255」自治体(「11.2%」*3)となる。「ふるさと納税の受入額実績や活用状況の公表等」は、「受入額実績・活用状況(事業内容等)の両方を公表している」自治体が「1,138」と「63.6%」、「受入額実績は公表しているが、 活用状況(事業内容等)は公表していない」自治体が「417」「23.3%」、「活用状況(事業内容等)は公表しているが、 受入額実績は公表していない」自治体は「34」と「1.9%」、「受入額実績・活用状況(事業内容等)のいずれも公表していない」が「199」「11.1%」*4となっている。そして、「寄附者に対して、寄附金を充当する事業の進捗状況・成果について報告している」自治体は「499」と「27.9%」*5
今回の調査結果では、2017年4月1日に総務大臣より発出された通知(「ふるさと納税に係る返礼品の送付等について」において「総務省では、個別の地方団体における返礼品送付の見直し状況について、今後、随時把握する予定であることを申し添えます」*6と提示していたことを踏まえ、「返礼品送付の見直し状況」に関する「市区町村の対応状況」の具体的実例と、「返礼割合3割超の返礼品及び地場産品以外の返礼品をいずれも送付し」、2018年「8月までに見直す意向がなく」、2017年度の「受入額が10億円以上」*7の12市町村を市町村名と「受入額」を同省から公表。なお、「受入額の多い」20自治体を降順で整理した「(参考)ふるさと納税の受入額及び受入件数」の結果と対比すると、同12市町村では「泉佐野市」「みやき町」「唐津市」「小山町」「嬉野市*8は両結果に含まれている。
「技術的な助言」*9となる同通知を踏まえた「事実の提示」*10による市町村の行動変容の状況は、要観察.

*1:総務省HP(広報・報道報道資料一覧2018年7月ふるさと納税に関する現況調査結果の概要)「ふるさと納税に関する現況調査結果 (平成29年度実績)」(平成30年7月6日 自治税務局市町村税課)、2頁

*2:前掲注1・総務省ふるさと納税に関する現況調査結果)4頁

*3:前掲注1・総務省ふるさと納税に関する現況調査結果)5頁

*4:前掲注1・総務省ふるさと納税に関する現況調査結果)6頁

*5:前掲注1・総務省ふるさと納税に関する現況調査結果)6頁

*6:総務省HP((広報・報道報道資料一覧:2017年4月ふるさと納税に係る返礼品の送付等について)「ふるさと納税に係る返礼品の送付等について」(総税市第28号 平成29年4月1日)

*7:前掲注1・総務省ふるさと納税に関する現況調査結果)10頁

*8:前掲注1・総務省ふるさと納税に関する現況調査結果)6頁、10頁

*9:前掲注6・総務省ふるさと納税に係る返礼品の送付等について)

*10:秋吉貴雄、伊藤修一郎、北山俊哉『公共政策学の基礎 新版』(有斐閣、2015年)99頁

公共政策学の基礎 新版 (有斐閣ブックス)

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