総務省の研究会は22日、所有者が分からない土地の増加に対応するため、転居や死亡により抹消された住民票の記録(除票)の保存期間を現在の5年から150年に延長すべきだとする報告書をまとめた。土地所有者の現住所をたどりやすくするのが目的。同省は来年の通常国会に関連法の改正案を提出する。
 住民票の除票には転居先の住所が示されており、自治体が公共事業の用地買収の際に、土地の登記簿上の住所から所有者の現住所をたどる場合などに活用される。ただ、転出から5年以上経過して除票が廃棄されていると、現住所を確認できないケースがある。研究会は、戸籍の取り扱いと同様に除票を150年間保存すれば、確実に転居先を把握できると判断した。

本記事では、総務省における住民基本台帳制度のあり方の検討結果を紹介。
同省では、「住民の把握・記録を行うための住民基本台帳制度等」に関して「マイナンバーカード・電子証明書の海外継続利用」、「所有者不明土地問題等に対応する住民票等の除票の保存期間の延長への対応方策を検討」することを目的に、2017年11月に「住民生活のグローバル化や家族形態の変化に対応する 住民基本台帳制度等のあり方に関する研究会」*1を設置。
同報告書では、「マイナンバーカード・電子証明書の海外継続利用」に関して「戸籍の附票」を「認証基盤とする案」*2を提言。加えて、「今後、多死社会を迎えるに当たり」「各個人の相続に関する負担の増大が想定される」ことから「住所履歴を簡便に公証する制度の必要性」があるとして、「住所履歴の公証機能という点に主に着目し」「附票を認証基盤とする案に代替する案」「住所履歴票(仮称)」の「可能性」も検討されている。本記事では、同案の内容を紹介。制度設計時には「プライバシー保護の 観点から」、「住所履歴票(仮称)の写しの交付や閲 覧の請求を行うことができる主体を」「本人(本人の死後は相続人) など必要最小限に限定すること」、「従来結果的に残されてきた附票上の住所履歴」は「プライバシー保護の観点から削除し」「最新の住所のみ記載すべき」*3ことなどを提示。新案による「本人確認」*4の手順は要確認。

*1:総務省HP(広報・報道報道資料一覧:2018年8月「住民生活のグローバル化や家族形態の変化に対応する住民基本台帳制度等のあり方に関する研究会」において取りまとめられた最終報告の公表)「住民生活のグローバル化や家族形態の変化に対応する住民基本台帳制度等のあり方に関する研究会最終報告」(平成30年8月 住民生活のグローバル化や家族形態の変化に対応する 住民基本台帳制度等のあり方に関する研究会)、1頁

*2:前掲注1・総務省(住民生活のグローバル化や家族形態の変化に対応する住民基本台帳制度等のあり方に関する研究会最終報告)、2頁

*3:前掲注1・総務省(住民生活のグローバル化や家族形態の変化に対応する住民基本台帳制度等のあり方に関する研究会最終報告)、7頁

*4:森田朗『新版 現代の行政』(第一法規、2017年)131頁

新版 現代の行政

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