東京など大都市に税収が偏っている法人2税(法人事業税、法人住民税)の再配分を議論してきた総務省有識者検討会(座長・堀場勇夫地方財政審議会会長)は20日、法人事業税の一部を地方に手厚く配り直す仕組みの導入を柱とした報告書をまとめ、石田真敏総務相に提出した。政府・与党は報告書を基に検討を進め、2019年度税制改正で再配分の規模を決める見通しだ。
 報告書は、全国的に事業展開している企業でも本社は東京に置いている場合が多く、法人2税の税収が大都市部に集中している状況を指摘。是正策として、法人事業税の一部をいったん国税化し、譲与税で都道府県に配分する案を基本とする一方、交付税の財源とする選択肢も示した。(2018/11/20-11:12)

本記事では,総務省における地方法人課税に関する検討結果を紹介。
2018年5月24日付の本備忘録で記録した同省に設置された検討会による同検討。同検討会は,検討結果として,2018年11月20日に「地方法人課税に関する検討会報告書」*1総務相に提出。同報告書では,「地方法人課税の偏在等を背景に地域間の財政力格差が拡大して」おり「偏在性が小さい地方税体系を構築する観点から」「地方法人課税における税源の偏在を是正する新たな措置を講じることが課題」*2との認識のもと,「地方税の充実確保を基本としつつ」「それによって生じる財政力格差の問題」を「地方交付税地方譲与税の機能を踏まえながら,その適切な活用を図っていくことが重要」*3としたうえで,「税源の偏在を是正する新たな措置」*4を提唱する。
具体的には,「地方法人課税」の「税源の偏在を是正する新たな措置の方策」として「譲与税化により実効性のある偏在是正措置とすることができる場合には」「譲与税化を基本として考えることが適当」とし,「十分な偏在是正効果を得られない場合には」「交付税原資化も視野に入れて検討する必要」と述べ,前者では,「法人事業税(所得割・収入割)の一部を分離して新たな税(国税)を創設」し,「地方税財源としての性格を明確にするため」に「税収の全額を交付税及び譲与税配付金特別会計に直入し」「新たな地方譲与税として都道府県に譲与する仕組み」」*5が提唱されている。
「本来は地方税」である同税の「国税として徴収」*6する制度案。今後の検討状況は,要観察。

*1:総務省HP(広報・報道報道資料一覧:2018年11月地方法人課税に関する検討会報告書の公表)『地方法人課税に関する検討会−報告書−』(平成30年11月)

*2:前掲注1・総務省(地方法人課税に関する検討会−報告書−)3頁

*3:前掲注1・総務省(地方法人課税に関する検討会−報告書−)16頁

*4:前掲注1・総務省(地方法人課税に関する検討会−報告書−)17頁

*5:前掲注1・総務省(地方法人課税に関する検討会−報告書−)27頁

*6:沼尾波子・池上岳彦・木村佳弘・高端正幸『地方財政を学ぶ』(有斐閣,2017年)88頁

地方財政を学ぶ (有斐閣ブックス)

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