東京都国立市で、あらゆる差別を網羅的に禁止する条例が制定される見通しとなった。ヘイトスピーチ対策法、部落差別解消推進法、障害者差別解消法の「人権3法」が求めた自治体の取り組みを受けた。12日の市議会総務文教委員会が全会一致で可決。21日の本会議で成立すれば来年4月に施行される。
 ヘイトに対応する条例は大阪市、東京都が制定し、川崎、名古屋、神戸の各市も検討中。国立市の特色は人権侵害が起きた場合、専門家や被差別当事者でつくる市長の諮問機関が救済措置を検討し、市が対処すること。識者は「理念がしっかりしており、重要な意義がある」と評価している。

本記事では,国立市における条例案審議の過程を紹介。
同市では,2018年第4回定例会に「国立市人権を尊重し多様性を認め合う平和なまちづくり基本条例案*1を提出。同条例案では「全ての人を社会的孤立や排除から守り」「社会の一員として包み支え合うソーシャル・インクルージョンの理念の下」で「市民の命と暮らしを守り」「人権を尊重し多様性を認め合う平和なまちを実現することを目的」*2とされている。同条例第9条,第10条に基づき,同市では「人権・平和のまちづくりの総合的な推進を図るための基 本となる方針」となる「基本方針」と「人権・平和のまちづくりを総合的に推進するための計画」となる「推進計画」を策定し,「地域の実情に応じて」「国等の関係行政機関及び市民等と連携し」「不当な差別の解消を始めとする人権救済のために必要な措置を講ずる」*3(第12条)ことが求められている。同条例成立後の具体的な施策を通じた「状況改善」*4の取組状況は,要観察。

*1:国立市HP(市議会議案・請願・陳情議案・請願・陳情平成30年第4回定例会議案・請願・陳情)「国立市人権を尊重し多様性を認め合う平和なまちづくり基本条例案

*2:前掲注1・国立市国立市人権を尊重し多様性を認め合う平和なまちづくり基本条例案

*3:前掲注1・国立市国立市人権を尊重し多様性を認め合う平和なまちづくり基本条例案

*4:礒崎初仁『自治政策法務講義 改訂版』(第一法規,2018年)36頁

自治体政策法務講義 改訂版

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