■応援職員、要望の半数以下 熊本地震の被災市町村 県集計 任期付き採用試験前倒し [熊本県](西日本新聞2019年1月18日)

 熊本地震の被災市町村に他自治体から新年度派遣される応援職員の人数が、昨年末時点で要望の半数以下であることが県への取材で分かった。昨年は災害が全国で相次ぎ、人員確保が難航しそうなことから、県は任期付き職員の採用試験を昨年より前倒しするなどしてマンパワー確保の動きを本格化させている。

 県によると、自治体が要望している応援職員数は、益城町の74人を筆頭に、熊本市西原村甲佐町など8市町村で計130人。一方で、新年度の派遣決定分は昨年12月末時点で60人にとどまり、要望の5割に満たない。派遣元の内訳は、県内自治体が19人、県外が41人となっている。

 本年度は被災した11市町村が計196人を要望したが、実際に派遣されたのは約6割の118人。不足分は任期付き職員や民間業者への委託、庁舎内の職員再配置などで補った。益城町の担当者は「配置換えで調整できたとしても、人を送り出した部署が負担を抱えることになる」と訴える。

 昨年は西日本豪雨大阪府北部地震が相次いで発生し、応援職員の確保はさらに厳しくなる可能性が高い。県は昨夏に実施した被災自治体合同の任期付き職員の採用試験を、新年度分は時期を大幅に早めて今月15日に開始した。

 熊本地震発生から3年を控え、被災自治体が応援職員に求める業務は変化している。益城町によると、新たな住宅の固定資産税の徴収や、区画整理事業に伴う用地取得などに関連した事務作業が増加。防災教育やまちづくりといった復興業務を担う職員も不足しているという。

 国の補助事業のうち2017年度分は、予算を繰り越しできるのが新年度までとされる。県の担当者は「新年度が正念場。年度初めから従事できるよう、早い段階で人手を得たい」と表情を引き締めている。

本記事では,熊本地震被災市町村に対する人的支援の状況を紹介。

同県による2019年1月1日付の集計では,2018年度は「196」名の要望に対して「自治法派遣」が「118」名,「任期付職員」が「21」名,「民間委託等」が「57」名により,「充足率」は「100%」*1であった各市町村。本記事によると,2019年度は「計130人」の要望に対して,「派遣決定分」が,2018年「12月末時点で60人」と「要望の5割に満たない」状況を紹介。新年度開始時までの「応援職員」*2の対応状況は,要確認。

*1:熊本県HP(分類から探す  :  くらし・環境  :  市町村行政・財政 :  地方創生(市町村支援) : 熊本地震被災市町村に対する人的支援)「平成30年度 中長期職員派遣要望総括表2019/1/1現在 

*2:玉井亮子「大規模災害時の職員応援システムの展開」河合晃一・大谷基道『現代日本の公務員人事』(第一法規,2019年),197頁

 

現代日本の公務員人事――政治・行政改革は人事システムをどう変えたか

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