「圏域」構想の記載見送り 地方反発し法制化は困難、地制調(共同通信2020年5月18日)

人口減少社会への対応に関する地方制度調査会(地制調)の答申素案が17日分かった。複数の市町村でつくる「圏域」を新たな行政主体とする構想は記載を見送った。地方の反発が強く、法制化は困難な状況だ。一方で、住民サービスの水準を維持するための広域連携や行政効率化の重要性を訴えた。19日の専門小委員会で提示し、7月までに正式決定する。

 総務省の研究会は、複数の市町村による「圏域」を法律上の制度として定めるよう促したが、小規模町村から「中心となる自治体に行政機能が集約され、周縁部の町村が衰退する」などと批判が続出。全国町村会など地方6団体からの強い反対も踏まえ記載を見送った。ただ広域連携を強化する方向性は残した。

 素案は、新型コロナウイルス感染が大都市で拡大したことを受けて、過度の人口偏在は国全体の社会経済活動の停滞リスクを高めると指摘。情報通信技術(ICT)を活用した東京一極集中の緩和を求めた。

 2040年ごろにかけて全国的な人手不足や高齢化、インフラの老朽化も進むとして、市町村が「地域の未来予測」を作成することを提言。実情に応じた広域的なまちづくりや専門人材の確保・育成に共同で取り組むことも求めた。

 「定住自立圏」や「連携中枢都市圏」といった広域連携制度に関しては、地域の中心となる県庁所在市などが主導し、複数市町村にまたがる人口減少対策をまとめることを提案。円滑な策定に向けた合意形成のルール作りの必要性にも触れた。

 人手不足対策では、人工知能(AI)や先端的ICTの導入による業務効率化を提起。市町村が連携して都道府県の事務を受託する新たな仕組みの創設も求めた。

 地方議員のなり手不足解消に向けては、公務員の立候補制限や、自治体との取引が多い企業役員との兼業禁止の緩和、育児・介護休暇の導入などを検討課題とした。

 地制調は首相の諮問機関。有識者と国会議員、自治体関係者の計30人で構成し、現委員の任期は今年7月までの2年間。

本記事では,地方制度調査会における答申の検討状況を紹介.

にて審議の開催を記録した第32次地方制度調査会*1. 同調査会への諮問事項として,「人口減少が深刻化し高齢者人口がピークを迎える2040年頃から逆算し顕 在化する諸課題に対応する観点から」,「圏域における地方公共団体の協力関係」,「公・共・私のベストミックスその他の必要な地方行政体制のあり方について」の「調査審議を求め」*2られてきた2年間の調査審議を踏まえて,本記事によると「19日の専門小委員会」に「素案」が「提示」される模様.

「人口が減少しても持続可能な,長期的な地域づくり」*3の継続した取組状況は要確認.