交付税不要の自治体、22団体減少 21年度 (日本経済新聞2021年8月3日)

 総務省は3日、2021年度の普通交付税の算定結果を公表した。交付税を受け取らずに財政運営できる不交付団体の合計は54自治体で、20年度から22団体減った。新型コロナウイルス禍を受けた地方法人2税(法人事業税、法人住民税)の落ち込みなどが響いた。不交付団体の減少は2年連続となる。

 武田良太総務相が同日、21年度の普通交付税大綱を閣議報告した。不交付団体が60を下回るのは7年ぶり。普通交付税の総額は16兆3921億円で前年度から5.1%増える。総額は3年連続の増加となる。

 都道府県では20年度に続き東京都だけが不交付団体となる。市町村では川崎市など24自治体が不交付団体から交付団体に転じた。福島県新地町と福井県高浜町の2自治体は発電所開設などによる固定資産税の税収増で不交付団体となった。

 総務省は地域のデジタル化や社会保障関係などの経費が増える一方で、新型コロナ禍による法人2税などの税収が減り、自治体の財源不足が広がったと見ている。

普通交付税は各自治体の行政サービスに必要な経費を示す「基準財政需要額」から地方税など標準的な収入である「基準財政収入額」を差し引いた不足分に基づいて算定する。21年度の需要額算定ではデジタル化向けの経費が新たに盛り込まれた。

本記事では,総務省における地方交付税の算定結果を紹介.

不交付団体は、2010年度には42自治体、2011年度は49自治体、2012年度は48自治体、2013年度は 49自治体となり、2014年度には55自治体、2015年度は60自治体、2016年度には77自治体(1都76市町村)、2017年度は76自治体(1都75市町村)、2018年度は78自治体,2019年度は86自治体と漸増しつつも、2020年度には76自治体となり2021年度には「54」*1自治体と推移。「企業業績の下振れによる法人関係税の減等」により「基準財政収入額が減少」し、対して「社会保障関係費の増加や地域デジタル社会推進費の創設など」で「基準財政需要額が増加した」*2ことが原因と推察されている。

不交付団体数の要因となる「行財政規模と税収の相関関係」*3の状況は、要確認。

*1:総務省HP(広報・報道 : 報道資料一覧 :令和3年度普通交付税の算定結果等)「令和3年度 不交付団体の状況」7頁

*2:総務省HP(広報・報道 : 大臣会見・発言等 )「 武田総務大臣閣議後記者会見の概要(令和3年8月3日)

*3:黒田武一郎『地方交付税を考える 制度の理解と財政運営の視点』(ぎょうせい、2018年)、68頁

地方交付税を考える―制度への理解と財政運営の視点

地方交付税を考える―制度への理解と財政運営の視点