特別自治市制度「疑問払拭できず」 神奈川県に提言(日本経済新聞2021年11月26日)

 横浜市などが目指す特別自治市構想に対し、神奈川県が設置した研究会は26日、意義を疑問視する提言をまとめた報告書を黒岩祐治知事に提出した。二重行政などの課題解決には県と政令市とが積極的に協議するなどして、まずは既存の制度を活用すべきだと提言した。

報告書では「指定都市都道府県調整会議」の積極的な活用などによる協議に加え、連携して税財源の確保を国に求めたり法定外目的税などを検討したりすることを提言。そのうえで、特別自治市構想は「本当に県民・市民のためになるのかという疑問が払拭できなかった」と締めくくった。

研究会は東京大の碓井光明名誉教授を座長として6~11月に7回開催して報告書をまとめた。黒岩知事は報告書を受け取り、「住民目線に立った地方行政のありかたに取り組んでいきたい」と応じた。

本記事では、神奈川県における大都市制度の検討の取組を紹介。

同県が2021年6月に設置し7回の審議を重ねてきた「特別自治市構想等大都市制度に関する研究会」*1。同研究会は、同年11月26日に報告書を公表。

同報告書では「県・指定都市の間で」「いわゆる「二重行政」の認識に齟齬が生じている場 合には」「個別具体的な支障の有無に関し」「積極的かつ速やかに協議を行い」「 双方が共通認識や理解を得る努力をすること」や「特定の財政需要が県・指定都市に共通する場合」「必要に応じ」「県と指定都市が協調連携しながら」「法定外目的税などのあり方について検討すること」、そして、「県と指定都市が」「諸課題の解決に向け」「諸施策の連携や事業のすり合わせ を十分に行えるよう」「指定都市都道府県調整会議の積極的かつ適切な運用を含めた協議のあり方を検討すること」*2を提案。

道府県と市」が「一つに重なり合い、総合的に精査」*3を通じた、いわゆる「二重行政」の対処過程は、要観察。