県の児相分室、大分市の庁舎へ 児童虐待防止へ連携強化(朝日新聞2022年2月16日)

  大分市における児童虐待への対応を強化するため、大分県児童相談所の分室が4月、市の子ども家庭支援センターと同じ建物に設置される。同居することにより、連携を密にして虐待事案に対処し、より子どもの安全につなげる狙いだ。自前の児相開設を検討している市の人材育成にも役立つと期待している。

 拠点となるのは、大分市城崎町2丁目の市庁舎城崎分館。2、3階に市中央子ども家庭支援センターが入っており、4、5階に、県中央児童相談所の城崎分室が新たに設置される。

 中央児相は中津、日田、宇佐、豊後高田の4市を除く地域を所管している。2020年度に児童虐待相談に対応した1134件のうち、大分市の案件は606件で53%を占めた。

 県こども・家庭支援課によると、新設する城崎分室は、大分市を管轄する業務のうち、子どもの一時保護以外のすべてを担う。児童福祉司を含め職員20人を超える規模になる見通しだ。

 中核市大分市は児相を設置できるが、立ち入り調査などの専門性が高い業務のノウハウがないため、現在は職員を県の児相に派遣して経験を積んでいる。連携が強化される4月以降は、より多くの市職員が児相の介入業務に間近で接することができる。

 同時に、市が持つ家庭や学校などの情報や、市が相談を受けた深刻化しそうな事案を迅速に児相と共有することで、子どもの安全につながると想定している。

 大分市は1月、児相を開設した場合の効果や課題を整理し、「児童虐待防止対策基本計画案」をまとめた。20年3月に、設置検討委員会から「設置が望ましい」との提言を受けており、開設に向けた道筋を示した形だ。

 計画案では、ネグレクトや心理的虐待など相談内容が多様化・複雑化していることを指摘して、専門性の高い体制や、子育て支援から一貫した総合的な支援体制が求められている、と説明。市の判断で迅速に対応できることや、子どもや家庭の状況に応じた最適な支援が提供できることなどを児相開設の効果に挙げた。

 設置する場所の候補地には①県中央児相内かその敷地内、②中央子ども家庭支援センターがある城崎分館内の2カ所を示した。

 一方で市は、児童福祉司ら76人程度が必要になるとの算定も示し、職員のスキル向上や財源の確保、虐待対応以外の業務の県からのノウハウの継承などの課題も列挙した。開設には課題解決を図りながら手順を踏んで進める必要がある、と結んでいる。(中島健

本記事では、大分県における児童福祉の取組を紹介。

同県では、「児童虐待対応力のさらなる向上を図る」目的から、大分市との「連携を強化」のために「大分市事案を担当」する「城崎分室」を「設置」*1する計画を提示。

児童虐待防止行政」を「一元化する」*2同施設の取組状況は要観察。

*1:大分県HP(ようこそ知事室へ : 令和4年2月14日知事臨時会見(令和4年度一般会計当初予算案・組織改正))「令和4年度 組織改正について」1頁

*2:鈴木潔「児童虐待防止 多様な連携方式の創出」伊藤正次編著『多機関連携の行政学 事例研究によるアプローチ』(有斐閣,2019年)28頁 

多機関連携の行政学 -- 事例研究によるアプローチ

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