「アサリの取引記録」義務化へ 熊本県の条例案骨子 蓄養からの脱却支援も(熊本日日新聞2022年4月6日) 

 熊本県は6日、輸入アサリを「熊本県産」と表示する産地偽装の防止を目指す条例案の骨子を発表した。漁協や業者に取引記録の作成を義務付けることを検討。偽装の温床と指摘される「蓄養」をやめた海域を「あさり資源特別回復区域」に指定することも盛り込む。

 国は国産表示のルールを厳格化したが、輸入アサリを1年半以上「養殖」した場合は、国産表示することは例外的に認めている。

 これが偽装の抜け道にならないよう、県は流通経路の追跡調査を強化。条例で、漁協や流通業者に取引記録の作成と3年間の保存を義務付ける方向で調整する。違反した場合は是正を勧告し、名前の公表も検討する。

 一方、県は産地偽装につながる恐れがあるとして、輸入アサリを一時的に県内の海浜にまく蓄養を問題視。漁場を貸し出した漁協に補助金を交付しない方針を決めている。

 条例案は、蓄養を続けてきた県内4漁協による資源特別回復区域指定を想定。蓄養からの脱却を促し、回復計画を立てて申請してもらう。蒲島郁夫知事は記者会見で「漁協が蓄養に頼らないビジネスモデルに移れるよう、後押しする」と、アサリの増殖や漁場の改善を支援する意向を示した。

 蓄養に関与していない漁協の海域も「あさり資源育成促進区域」に指定し、関係漁協を支援する方針。県内のアサリ漁獲量は2021年が35トンと、1977年の2千分の1に落ち込んでおり、行政による支援でその底上げを図る。

 条例案は意見公募を経て、県が6月定例県議会に提出する予定。9月の施行を目指す。(髙宗亮輔)

本記事では、熊本県における産地偽装対策の取組を紹介。

同県では、「アサリの産地偽装に対して」、2022年「2月1日」に「県産アサリの緊急出荷停止宣言」を発し同「県産アサリの出荷を停止」してきたなか「産地偽装を抑止する流通・販売の仕組みや、ブランド力向上の取組み」による「熊本モデル」を検討し、同「県産アサリの出荷」を、同年4月「12日から」「再開」*1。本記事によると、「産地偽装の防止を目指す条例案の骨子」も「発表」された模様。

産地偽装抑制のための各「実施機関との間で」の「連携」*2状況は要観察。

*1:熊本県HP(ようこそ知事室: 記者会見令和3年度(2021年度))「令和4年(2022年)4月6日 知事定例記者会見

*2:松井望「消費者保護 司令塔組織がハブとなる「政策パッケージとしての連携」」伊藤正次編著『多機関連携の行政学 事例研究によるアプローチ』(有斐閣,2019年)155頁 

多機関連携の行政学 -- 事例研究によるアプローチ

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