不正署名防止へ収集者明示 愛知リコール事件受け総務省(共同通信2022年4月6日) 

 愛知県知事リコール(解職請求)署名の偽造事件を受け、総務省は6日、直接請求制度の運用を見直すと明らかにした。不正を防ぐため署名簿の様式を定めた省令を改正。氏名記入欄を設けて署名を集めた人を明示するほか、偽造には罰則があるとの記述を追加する。制度の理解促進も不正防止に有効として、署名集めのルールをまとめた資料を作成、周知する。

 これらの改善策は、同省の有識者研究会が6日にまとめた報告書に盛り込まれた。報告書は、現在は署名簿上で収集者が特定できず「偽造の一因となっている」と指摘。氏名を記入すれば不正があった際に捜査の手掛かりとなり、不正の抑止力になるとした。

本記事では、総務省における直接請求制度の運用の検討結果を紹介。

同省では、2021年10月に「直接請求制度の運用上の課題に関する研究会」を設置し、「署名収集、署名簿の縦覧等の手続に関し、不正防止や個人情報保護等 の観点から運用上」の「論点整理」と「講ずべき対応を検討」*1。4回の会合が開催された後、2022年年4月6日に『直接請求制度の運用上の課題に関する研究会 報告書』*2を公表。

同報告書では、「不正な署名収集の防止」として「署名簿上で署名収集者を特定できるようにする措置を講ずること」*3を提案。「署名簿の様式に署名収集者の氏名を記載する欄」の「追加」や「請求代表者、署名収集受任者ごとに署名簿を作製するよう促し、請求代表者が複数いる場合には、請 求代表者が署名を収集した署名簿の表紙に、署名を収集した請求代表者の氏名 を記載するよう」「運用」*4を促している。

他方、「選挙管理委員会による審査の対象とならない署名簿の調査」に関しては、「選挙管理委員会の調査権限を地方自治法上明確に規定すること」は「 慎重に考えるべき」*5との見解も示している。

また、「縦覧制度」の「個人情報への配慮」では、まず「縦覧の際に、署名簿の住所、生年月日は黒塗りその他の方法で一旦隠しておく」、ついで「 特定の署名者の署名を住所、生年月日の部分も含めて縦覧したい旨の申出があれば、住所、生年月日の部分も含めた当該特定の署名者の署名を縦覧させる」として、そして「 以上の手順を踏んでもなお、署名簿全体を縦覧したい旨の申出があった場合には、署名簿全体を縦覧させる」「運用」*6手順を促している。

「署名数を集める」*7取組への各選挙管理委員会による対応状況は要観察。