県議会は16日、昨年度の決算を審議する特別委員会を開き、賛成多数で認定した。20日の本会議採決が最終決定となるが、4年ぶりに決算認定される公算が大きくなった。
 この日は総務政策、厚生、商工建設、環境農林水産、文教警察企業の各分科会が決算審議を報告。全分科会とも「決算認定」としている。続く採決で賛成多数で可決した。
 県決算は、05年度分は官製談合事件の発覚の影響を受けて、06・07年度分は「一部に裏金処理が含まれていた」として3年連続で不認定となっていた。また県議会では従来は前年度決算を11月定例会で審議していたが、今年度から9月定例会に繰り上げた。これは財政健全化法が昨年度決算から本格適用されることに伴うもので、決算審査と次年度予算編成の間に十分な時間を確保するとの意味合いもある。【種市房子】

同記事では,宮崎県議会における決算認定について紹介.
地方自治法第233条に基づき「計算に間違いはないか」「支出命令等に符号しているか」「収支は適法であるか」等を「主眼」に行われ,「議会の認定においては,更にこれらの点に十分な審査をつくる」*1とされる決算審査.議会の決済認定に関しては,「予算執行の結果の総合的確認行為,客観的検証の手段であって,予算の議決のようにそれが効力の発生のための要件とはならない」として,「議会において決算を認定しなかったとしても,それが決算の効力に影響を及ぼすものではな」*2いとされる.
そのため,例えば,2009年10月15日付の苫小牧民報社により報道されている恵庭市の決算の不認定のように*3「議会が認定しない場合」であっても,それは,「道徳的.政治的責任を負」(409頁)い,「決算の内容に正しくない点があれば」「これを正すべきということになる」(同頁),更に「不正な行為が発見された場合」には「その責任を明らかにし,そのために生じた損害の回復を求めるとともに,将来に向かって同様のことが起こらないよう,責任者に対して適切な措置を求めなければならない」(410頁)とも解されている.
第29次地方制度調査会の答申内においては,「仮に議会が決算を認定しない場合には,まずは,議会が,その審議等を通じ,長の予算執行や政策遂行上の問題点等決算を認定しない理由を長や住民に対して明らかにするように努めるべきである」と議会側の努力規定的記述があり,「長は,議会から指摘された問題点等に関しては,決算の審議において,その原因や善後策等を十分に説明するとともに,決算が認定されなかった場合には,住民に対してもその善後策を説明するよう努めるべきである」*4と,長側の対応についてもまた努力的記述が示されてる.
ただ,同答申に至る審議過程を拝読すると,「議会が決算を不認定とした場合の長からの説明義務等の対応措置」の論点に対しても,「例えば非常に極端なことを言えば,未執行部分は執行できないようにする.その年度の予算の使い方で全部使い切っているかというと,そうでない部分が出てきた場合に,そういうのはあるかもしれません」としつつ,「それは非常にレアケースを想定して,なかなか制度的な仕組みとしては難しい」として,「ですから,具体的にもし法律にあえて書くとすれば,やはり説明義務」*5化の見解が示されていた.ただ,恐らくはこれも一つのいわゆる「自由度の拡大路線」*6の観点からなのか,答申段階では,努力規定に収斂された模様.運用的記述ではあるため,地方自治法改正に明記されるのだろうか.要確認.
ただ,「より実質的な行政統制として,不認定の場合に説明をすればそれでよい,ということではなく,決算自体を修正することまでを視野に入れて考えていくべきであろう」*7との分析は,下名個人的には,なるほどと思う.

*1:松本英昭『新版 逐条地方自治法第5次改訂版』(学陽書房,2009年)804頁

新版 逐条地方自治法

新版 逐条地方自治法

*2:青山忠幸「決算の手続」瀧野欣彌編著『財務(1)』(ぎょうせい,2003年)409頁

最新地方自治法講座 (7)

最新地方自治法講座 (7)

*3:苫小牧民報社(2009年10月15日付)「08年度一般会計決算を不認定に 市議会特別委

*4:総務省HP(以前の新着情報(会議資料・開催案内・他))第29次地方制度調査会『今後の基礎自治体及び監査・議会制度のあり方に関する答申』(平成21年6月16日)25〜26頁

*5:総務省HP(組織案内審議会・委員会地方制度調査会第29次地方制度調査会第15回専門小委員会(開催日:2008年9月30日))「議事録」(斎藤委員発言)

*6:西尾勝「四分五裂する地方分権改革の渦中にあって考える」『分権改革の新展開』(ぎょうせい,2008年)3頁.

年報行政研究43 分権改革の新展開

年報行政研究43 分権改革の新展開

*7:田口一博「第29次地方制度調査会答申について(3)」『自治総研』第371号,2009年9月号,39頁(『自治総研』はweb上で拝読することが出来,便利.他の自治関連雑誌もweb公開されると,一般の方々の関心も高まるではないだろうか,とも思う)