総務省は28日、土地と家屋にかかわる固定資産税と都市計画税について、2009年度から11年度までの3年間で97%の自治体で課税の誤りがあったとの調査結果を発表した。システムへの入力ミスなど多くの原因によって、税額を増やしたり減らしたりする修正が起きていた。納税義務者に対する修正者数は土地、家屋ともに3年間の平均で0.2%程度。総務省はミスを防止する対策を今後、検討するとしている。

本記事では,総務省における「固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果」を紹介.同調査結果は,同省HPを参照*1
同調査では,「平成21年度,22年度及び23年度(平成24年1月1日まで)」の「土地・家屋に係る固定資産税及び都市計画税」に関して,「各市町村が課税誤り等により税額を増額又は減額修正した件数(納税義務者数)」を把握.「調査回答」自治体は,「岩手県宮城県及び福島県内の市町村は調査対象外」とした「1,592市町村」.また,「東京都」に位置する「特別区」では「23区内にある固定資産については,都が都税として課税」*2されることもあってか,「回答を得られなかった」という.
同調査の結果,本記事でも紹介されているように,上記3年間のうち「税額修正した納税義務者数が1人以上」あった「市町村」は「調査回答団体のうち97.0%」*3となっている.
また,本記事では,「税額を増やしたり減らしたりする修正が起きていた」との紹介にとどまっているものの,正確な税額修正の内容を拝見させて頂くと,土地と家屋でその内容は異なっていることが分かる.まず,「土地」に関しては,「増額修正が32.0%,減額修正が68.0%」,次いで「家屋」に関しては,「増額修正が40.5%,減額修正が59.5%」*4とある.確かに,土地,家屋ともに「減額修正」が高いものの,相対的ではあるが,増額修正は家屋,減額修正では土地に関して多く行われていたことも分かる.
それぞれの理由は,「土地」では「評価額の修正」(29.9%)が最も多く,次いで,「負担調整措置・特例措置の適用の修正」(22.9%),「現況地目の修正」(15.8%)の順となる.「家屋」では,土地と同様に「評価額の修正」(29.7%)と最も多く,次いで「家屋滅失の未反映」(23.6%),「新増築家屋の未反映」(20.6%)の順となる*5.また,「不知」*6によるものであるのだろか「納税義務者の修正」も,土地では「15.2%」,家屋では「13.4%」が行われている様子も窺える.
とはいえ,同省の同資料で述べられているように,「「評価額の修正」の場合であっても,その原因には電算システムのデータ入力誤りやプログラムミスのようなものから,評価基準の適用誤り等まで様々なものが考えられる」*7ともいう.状況適応すべく評価額の見直しが図られ,その結果,非固定ともなる固定資産税.そのため,変更に伴う技術的な配慮の繊細さも必要とはなるものの,いずれの誤りにおいても「納税者の不信」となり「応益課税としての同税の課税根拠を弱めてしまう」*8虞もなくはない.同省同資料にいう「こうした原因について実態を把握」*9は,たいへん興味深い観察課題.

*1:総務省HP(広報・報道報道資料一覧2012年8月固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果 平成24年8月28日)「固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果

*2:東京都HP(各局のページ主税局税目別メニュー)「固定資産税(土地・家屋)・都市計画税

*3:前掲注1・総務省(固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果)1頁

*4:前掲注1・総務省(固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果)2頁

*5:前掲注1・総務省(固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果)2頁

*6:クリストファー・フッド『行政活動の理論』(岩波書店,2000年)67頁

行政活動の理論 (岩波テキストブックス)

行政活動の理論 (岩波テキストブックス)

*7:前掲注1・総務省(固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果)1頁

*8:佐藤主光『地方財政論入門』(新世社,2009年)217頁

地方財政論入門 (経済学叢書Introductory)

地方財政論入門 (経済学叢書Introductory)

*9:前掲注1・総務省(固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果)1頁