選挙権年齢が18歳以上に引き下げられる今夏の参院選を控え、投票率の向上に向けて政府がまとめた公職選挙法改正案の概要がわかった。選挙当日に駅や商業施設などでも投票できるようにし、期日前投票の時間延長も可能にする。2月中旬に国会へ提出し、参院選からの適用を目指す。
 現行制度では二重投票の防止などのため、当日は近所の学校など指定された一つの投票所でしか投票できない。改正案では、駅など人が集まる場所に市区町村内の有権者であれば誰でも投票できる「共通投票所(仮称)」を設置できるようにする。有権者は指定の投票所と共通投票所のいずれかを選んで投票できる。各投票所を通信回線で結ぶことで不正やミスを防ぐ。
 開設できる場所はその市区町村の区域内に限られ、設置するかどうかや、何カ所設けるかは各自治体が判断する。
 また、現在は午前8時半から午後8時までとされている期日前投票の投票時間を拡大できるようにする。各自治体の判断により最長で午前6時半から午後10時まで投票可能とする。
 このほか、有権者が投票する際に投票所へ同伴できる人を「幼児」と「やむを得ない事情がある者として投票管理者が認めたもの」に限っている公選法の現行規定を変更し、選挙権のない18歳未満なら誰でも同伴可能とする。「教育のため、子どもに投票の様子を見せられるようにしてほしい」との声が上がっていることを考慮した。
 選挙年齢の18歳以上への引き下げに伴い、新たに有権者となる若者が選挙直前の転居で投票できなくなる問題を解消する公選法改正案は週明けにも参院で成立する見通しとなっている。【青木純】

本記事では,政府における公職選挙法改正案の国会提出予定を紹介.
2015年3月31日付の本備忘録では,総務省が設置した「投票環境の向上方策等に関する研究会」*1における『中間報告』の取りまとめを記録.本記事では,2016年「2月中旬に国会へ提出」し「参院選からの適用」する方針であることを紹介.本記事によると同法改正により「選挙当日における投票区外投票」*2として,「共通投票所(仮称)」の「設置」が可能となる模様.同研究会の『中間報告』では,「実際に投票区外投票を実施するかどうかについては,投票に関して都市部と地方部とでは課題が異なる等の事情もあることから,各団体の判断に委ねる」*3と提案された通り,設置に関しては「各自治体が判断する」こととなる模様.
同法改正の成立後の各自治体の「共通投票所(仮称)」の設置に伴う,「投票機会の平等や有効投票の確定」と「利便性の追求とのバランス」*4の確保状況は,要確認.

*1:総務省HP(組織案内研究会等)「投票環境の向上方策等に関する研究会

*2:総務省HP(広報・報道報道資料一覧2015年3月投票環境の向上方策等に関する研究会 中間報告 平成27年3月27日)「投票環境の向上方策等に関する研究会 中間報告」(投票環境の向上方策等に関する研究会,平成27年3月)6頁

*3:前掲注2・総務省(投票環境の向上方策等に関する研究会 中間報告)7頁

*4:砂原庸介『民主主義の条件』(東洋経済新報社,2015年)203頁

民主主義の条件

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