北九州市が設ける市民参加型審議会の設置要綱改正原案が28日、明らかになった。審議会を、設置に議会の承認などが必要な「付属機関」と、必要ない「市政運営上の会合」の二つに区分。後者は目的達成時に廃止する方針を明記した。
 北橋健治市長は07年に就任後、主なものだけでも13の審議会を設け、市政運営のてこにしている。ただ、そのほとんどを議会の承認抜きで設けているため、相当数の市議が「市政の方向性が議会の外で決まっている」と白眼視。そのため橋本嘉一副市長は6月議会で運用の見直しを行う考えを示していた。原案によると「付属機関」は地方自治法を根拠に、市が設ける組織。同法は、国会が定める法律か、議会が定める条例に基づく設置を求めており、議会の承認などが不可欠。一方「会合」は市が学識経験者や市民の意見を求めるために開くもの。原案には「目的を達成したら、すみやかに廃止する」と記された。構成員も「兼職はできる限り避ける」とされ、人選が特定の人物に偏らないようにする。ただし、議会が設置に縛りを掛ける条文はない。市は市議会各会派に説明し、理解を得たい考えだ。【平元英治】

同記事では,北九州市において,審議会設置要綱に関する改正原案が明らかになったことを紹介.同要綱については拝見しておらず,詳細は把握できないが,同記事では,同要綱の特徴としては,「附属機関」と「市政運営上の会合」との2種類に分類し,特に,後者に関しては,「目的達成時に廃止」することにある模様.「目的達成時」の廃止(自動廃止型?)は興味深い.ただ,「目標達成時」の時期を巡っては少し見解が分かれそうにも思われる.特に,市民参加型の会合であれば,自らの答申や報告がどのように扱われたのかという経過や結果を「監視」したい(少なくとも把握したい)という意見も暫し伺うことがある.これらの意見への対応があるか,後日,要綱を見てみたい.
6月13日の本備忘録でも取り上げたように,同市では「附属機関」と同様の役割を有する諮問機関については,私的諮問機関と位置付け,条例設置としないとする職員向けの手引書を設けていたことが読売新聞で報道されたこともある.今回の対応は,同種の指摘を受けてのものなのだろうか.同日の備忘録の内容と同様ではあるが,「附属機関」(とする)か「私的諮問機関」(とする)かの切り分けは,自治体における組織編成権とも関係し,実際の所,難しい論点.そのため,同記事のように,市民参加型の審議会としても,予め市として区分を設けておくことは適切かとも思われる.
また,同記事にある市議の意見は,議会と審議会という二つの合議体組織を考えるうえでは,議会からの同種の古典的な審議会観ともいえ,興味深い意見.同意見は,実際の所,いわゆる発言者「正体不明」の「括弧」付き記事*1のためか,同発言が如何なる立場の方が,如何なる経緯でご発言されたものであるかよく分からない部分もないではない.ただ,毎日新聞の別の日の報道では,同市議会の様子を継続的に報道されており,6月議会では審議会の位置づけを巡り質疑が交わされていたことが分かり*2,合わせて拝読させて頂くと同市議会の審議内容を把握することができる.同市の審議会がもつ,政策結果への規定力が各議員が指摘するほど大きなものとなっているのであれば,これは非常に興味深い事例.要観察.
ただ,その決定の場を「議会の外」から「中」に引き戻すためには,議会側が2001年の地方自治法改正により整備された,第100条の2に基づく「専門的知見の活用」を行い,執行部が設定した同一審議課題を審議し,対案(というか,どちらが本案かとも言われそうだが)を示す等で「市政の方向性を議会の中で決める」ことも出来そうかと思うが,如何だろうか.

*1:上杉隆『ジャーナリズム崩壊』(幻冬舎,2008年)160頁

ジャーナリズム崩壊 (幻冬舎新書)

ジャーナリズム崩壊 (幻冬舎新書)

*2:毎日新聞(2008年6月12日付)「北九州市議会:北橋市政支える審議会設置、議員と市側が論戦/福岡」