13年2月に迎える北九州市制50周年の記念事業について考える検討委員会の初会合が25日、小倉北区の毎日西部会館で開かれた。「北九州市」の市外での認知度不足を指摘する発言が複数あり、「小倉駅を北九州駅にしてはどうかという意見もある。『北九州』という名前が毎日耳に入るための工夫をしたらどうか」(利島康司・北九州商工会議所会頭)との意見も出た。
 「全国大会に出ても『北九州市は何県ですか』と聞かれることが度々あり、プライドが傷つけられる」と述べたのは北九州ESD協議会の寺坂カタエ代表。「子供たちの頭の中に(北九州市が)刻み込まれるような事業にしたい」と述べた。また、情報誌発行「アヴァンティ」の金成子・北九州支社長も「50周年を機に北九州をもっと力強く外に打ち出してPR不足を何とかしたい」と指摘した。委員長の北橋健治市長は「63年の旧5市の対等合併は世界的にも異例で、国連が調査団を派遣するほどの試みだった。歴史の中で培った強みや魅力を全国に発信し、これからの50年につなげる50周年記念事業にしたい」などとあいさつした。検討委は市内の経済団体、市民団体、NPO、専門家らで構成。市の組織である推進本部とともに記念事業基本構想をまとめ、年内に公表する。【佐藤敬一】

本記事では,北九州市における市制施行50周年事業の取組を紹介.同事業の概要に関しては,同市HPを参照*1
1963年「2月10日に旧五市(門司・小倉・八幡・若松・戸畑)が対等合併し誕生」した同市,2013年「2月10日に市制50周年」となり,これを「これまでの50年を振り返るとともに,これからの50年を展望すること」を目的とした「記念事業」を開催.当該事業の「推進体制」としては,「市役所内部の全庁的な体制」として「北九州市制50周年記念事業推進本部」が置かれるとともに,その事業の検討を図るために,本記事でも紹介されている「市民団体・経済団体・行政の代表者や専門家など15名の委員で構成」される「北九州市制50周年記念事業検討委員会」が設置.第1回が2011年5月25日に開催され,本記事では,同委員会での意見を紹介されており,「「北九州市」の市外での認知度不足を指摘」された模様.市外での認知度の高低と同市のこの50年の回顧とこの先の50年の展望との関係性は,正直なところ,下名個人的には,今一つ判然とはしない.同委員会での審議内容が公表された場合には,これらの発言の趣旨と文脈は要確認.
ただ,政令指定都市制度の遷移から考えれば,同市の政令指定都市への移行の意義はやはり高い.つまり,「5大市以外にも政令指定都市になる道が開かれ」*2,その後,断続的ではあるもの,同都市の増加という変化をもたらしつつ,同制度自体は安定した運営をなされることになる.これらの数量的変化をもって,「政令市都市制度の希釈化」*3と解することもできるものの,方や「動的均衡」*4しつつ,「同一方向への加速的変化」を与えることになる「正のフィードバック」*5を生じた契機としても,同市の政令指定都市制度への移行は同制度を考えることもできなくはなさそう.そのため同市の視点から同制度を考える意義は,現在なお高そう.
なお蛇足.宇賀克也先生の『地方自治法概説第4版』(有斐閣,2011年)を開いてみると,「市制度の特例」に関して,次のように記述.「今日では,中核市特例市政令で指定するため,指定都市,政令指定都市政令市,指定市という呼称は適切ではなくなっている」*6.なるほど.ただ,地方自治法第252条の19では,「政令で指定する人口50万以上の市」を「以下「指定都市」という」との規定が置かれているなかで,では果たして,「政令で指定する人口50万以上の市」をどのように呼称することが適切か考えてみると興味深く,悩ましい課題(例えば,「over50(フィフティ)指定都市」とか「アラウンド・ハンドレッド」都市(略して,アラハン)とかでしょうか).

*1:北九州市HP(市政情報市政ニュース・公報・情報公開記者発表資料平成23年5月記者発表資料)「北九州市制 50 周年記念事業の推進について」(平成23年5月11日,総務企画局シティプロモーション部)

*2:真渕勝『行政学案内』(慈学社,2009年)123頁

行政学案内

行政学案内

*3:金井利之『自治制度』(東京大学出版会、2007年)178頁

自治制度 (行政学叢書)

自治制度 (行政学叢書)

*4:大杉覚「大都市制度をめぐる制度論議の課題と展望」『地方自治』第761号,2011年4月号,14頁

地方自治 2011年 04月号 [雑誌]

地方自治 2011年 04月号 [雑誌]

*5:北山俊哉『福祉国家の制度発展と地方政府』(有斐閣,2011年)31頁

福祉国家の制度発展と地方政府 --国民健康保険の政治学 (関西学院大学研究叢書)

福祉国家の制度発展と地方政府 --国民健康保険の政治学 (関西学院大学研究叢書)

*6:宇賀克也『地方自治法概説第4版』(有斐閣,2011年)35頁

地方自治法概説 第4版

地方自治法概説 第4版