ガバナンス論の現在: 国家をめぐる公共性と民主主義

ガバナンス論の現在: 国家をめぐる公共性と民主主義

西岡晋先生より,ご恵与賜りました.ありがとうございました.西岡先生は,「福祉国家論とガバナンス」(141−164頁)を御寄稿されております.
「福祉」分野で,しばしば,主に実施レベルでの協働という名のガバナンス化の広がりと更なる希求の向きがあるのなかで,御高論を拝読させて頂き,「国家」(下名にとっては自治体行政となりますが)の改めての役割,そして,いかに「編み直し」(160頁)を図るかということを,極めて現実的な課題として拝読させて頂く機会となりました.
心より御礼を申し上げます.誠にありがとうございました.

大規模災害時に被災者が税の減免などの公的支援を受ける際に必要となる「罹災(りさい)証明書」を、専門知識のない職員でも発行できるシステムが完成し、実証実験を経て来年度にも実用化される見通しとなった。都と文部科学省が共同で開発を進めており、都内の各自治体も首都直下地震の発生に備え、早期導入を目指したい考えだ。
 新システムは、京都大などで開発された「被災者台帳を用いた生活再建支援システム」を、都などが仕様変更した。今年3月の東日本大震災では、自治体の建物が被災して機能を失ったため発行業務が滞り、義援金の支給が遅れたなどの反省があった。都などでは大規模災害でも、1か月程度で発行することを目標に開発を進めていた。新システムでは、建築事務に習熟していない職員でも、建物損壊の事例を図で示すことなどで、全壊や半壊などの被害調査が可能。集めた情報をデータベース化し、区の住民基本台帳と都主税局の課税台帳をリンクさせ被災者台帳を作成する。情報を一元化することで、仮設住宅への入居状況なども自治体で簡単に把握できるようになる。
 2007年の新潟県中越沖地震でも運用されたが、新システムでは、マンションなど非木造家屋の被災度を判定できる図などを追加。今月4日に実証実験を行った豊島区では、「経験のない職員だけでなく、他自治体からの応援職員でも、一定の基準で被災度を判定できる」と好評だった。都では11月に調布市で実証実験を行う予定で、来年度には新システムを各自治体で導入できるようにする。

本記事では,東京都において罹災証明書の発行システムの構築に関して紹介.同システムの詳細に関して同都HP内で確認してみたところ,現在のところ下名の確認の仕方が不十分なためか,把握できず,残念.
一方,本記事でも紹介されている豊島区での取組に関しては,2011年9月5日付の東京新聞にて「り災証明書発行訓練」*1の様子が報道.あわせて,同区HPを拝見させて頂くと,同システムは,「チャートを活用して建築に関する専門知識がない職員」が「被害調査を実施」し,同調査後には,「調査票のスキャナー読み込」むことで「入力作業の大幅な縮減」化,そして「GIS(電子地図)を活用」することで「被害調査結果と住民記録,課税台帳とのデータ照合」*2を行うもの.なるほど.
本記事を拝読させて頂くと,同都では「11月に調布市で実証実験」も引き続き実施する方針とのこと.罹災証明書の発行業務が「専門的執務知識」*3に基づくなかでも,迅速性を確保できることになると興味深そう.今後の導入状況も要確認

*1:東京新聞(2011年9月5日付)「生活再建 迅速に 罹災証明発行 豊島で訓練

*2:豊島区HP(広報報道発表)「り災証明書を迅速・公平に発行するため区民、行政で訓練を実施

*3:木寺元「地方制度改革と官僚制」『年報政治学2008-2 政府間ガバナンスの変容』(木鐸社,2008年)306頁

政府間ガバナンスの変容 (年報政治学)

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