横浜市は、行政と民間の事業共有化を図る「共創推進事業本部」を設置した。横浜市の各局に分散していた経済の活性化や公共サービス向上などの業務を集約し、行政と企業などの官民それぞれのノウハウを活用して、新しい事業機会の創出、横浜の地域経済の活性化や公共サービスの向上を狙う。同事業本部は、新しい公共を「共に創る」という理念のもと設置され、広告事業・ネーミングライツ市場化テストPFI(民間資金活用による社会資本整備)、地域再生など「行政だけでは対応が難しい課題」(横浜市)とされる事業に取り組んでいく。「共創」とは「単独では解けない課題に異分野の専門知識などを活用することで、新たな解決策などを創出できる」という意味の造語で、同様の取り組みは全国の自治体でも初めてという。事業本部設置にあたり、民間から人材を募集している。対象は来年4月1日の時点で55歳未満の人で、コンサルタントや金融、都市開発などの経験がある人2名程度。応募は4月22日まで。同事業本部の土井一成事業本部長は、「究極の目的は地域の活性化。民間の知恵や力を幅広く、公共サービスなどに取り入れていくために、新たな連携手法の研究や官民異業種が連携するフォーラムの開催などにも取り組んでいきたい」と話している。

市町村・都道府県間関係の研究者(というカテゴリーも又,許容されるのか分かりませんが)としては,「子どもが笑う、大人も笑う大阪に」を公約として就任した府知事が,「知事が泣き,市町村長が怒れる」状態となった,昨日開催の大阪府と府内43市町村長の意見交換会*1について取り上げるべき所ではあるが,今後,大阪府側が市町村と協議のために,いかなる手法を用い,手順を踏むのかを含めて要経過観察.「スクール☆ウォーズ」ではあるまいが*2,「泣き虫知事の4年戦争」となるのか.個人的には,市町村へ職員を送り(ただ,地方自治法上の派遣では市町村負担となるので,出張扱いか)*3,来年度予算編成に向けて,市町村とともに府側の財政再建に向けて実施計画を協議,策定することが現実的とは思うが.
さて,同記事では,横浜市が「共創推進事業部」を設置したことを紹介.行政以外のアクターに関する部署としては,市民活動に関する部署が91%都市自治体で整備されており,それらは企画担当部門に設置されるケース(36.4%)と単独部門で置かれるケース(28.3%)が多い結果とある*4.民間事業者との「共創」事業をまとめて扱う部署となると希有な取り組み.経済環境及び規模の利点を生かした,これこそ,ヨコハマらしい取り組み.今後の事務機構研究にも参考となる.

*1:例えば,産経新聞2008年4月17日「思わず、涙もポロリ 橋下知事に府内市町村長から反発相次ぐ

*2:むしろ,昨日開催した「第42回地方分権改革推進委員会」の配布資料について取り上げきか

*3:読売新聞北海道支社夕張支局編著『限界自治夕張検証』(梧桐書院,2008年)59頁

限界自治 夕張検証―女性記者が追った600日

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*4:財団法人日本都市センター『分権型社会の都市行政と組織改革に関する調査研究』(2008年3月)262頁.財団法人日本都市センターのHPに,同報告書がアップされていました.