京都市門川大作市長は27日、来年度から総務局と理財局を統合して「行財政局」を発足させ、市組織の筆頭局として新たに「環境政策局」を設けると発表した。局レベルの再編は1999年度以来10年ぶりで、これまでの9局から政令市で最も少ない8局体制に再編する。
 来年度から3年間で計964億円に上る財源不足の対策として、2011年度までの市政運営方針となる「京都未来まちづくりプラン」を策定し、この中で1300人の職員削減を目標に設定するなど行政運営のスリム化を掲げた。行財政局の設置は、プランに盛り込んだ行革に取り組む体制を強化する狙いがあり、これまで担当が分かれていた総務局の人事と理財局の財務を一体化することで、職員定数管理と予算に絡む対応などを効率的に行えるとしている。
 環境政策局は、総合企画局の地球温暖化対策室と環境局を統合して設ける。今月23日に国の環境モデル都市に追加選定されたこともあり、環境政策を重視する市の姿勢を前面に打ち出す。このほか、総務局の国際化推進室の業務を総合企画局に移し、留学生の増加策などの取り組みを充実させる。
 市は2月定例議会に関連条例の改正案を提出する。組織再編で局の数は減るが、局長級職員を減らすかどうかは検討中という。門川市長は「山積する課題解決のため、大胆な組織見直しを断行し、新たな市政の創造にまい進したい」と述べた。

同記事では,京都市において,来年度に向けた機構再編案が示されたことを紹介.現在の同市の組織機構図については同市HPを参照*1.同記事にもある,来年度機構再編案については,現在のところ,同市HPには掲載されていない模様.残念.今月30日には,その「工程表」が閣議決定されるという「内閣人事・行政管理局」での交渉*2とは異なり,定数管理,行革,そして予算とも一元化しうる,自治体の場合でも,「制約」*3はあるものの広めの組織編成権を持つものと再認識.
同記事にもある「筆頭局」という概念.下名,中央省庁では「大臣(長官)官房は実質的には国レベルでは筆頭格扱いになっている」*4ことからの類推と,制度的には職務代理者が属する場合が多いことから,自治体内では,総務系部局が「筆頭」と位置づけられているものと,勝手な思い込みで理解してきたが,同記事を拝読し,よくよく考えてみると,そうとも言えなさそう(自治体行政への不勉強・観察不足が恥ずかしい限りです.ただ,同市の「京都市長職務代行者順位指定規則」(昭和25年5月18日規則第26号)を拝見すると,「職務の級の高いものからの順序,職務の級が同じであるときは,給料の号給の高いものからの順序,職務の級及び号給が共に同じであるときは,在職年数の長いものからの順序,職務の級,号給及び在職年数が共に同じであるときは,年長の順序,職務の級,号給,在職年数及び年齢が共に同じであるときは,くじで定める順序による」とあり,確かに「代行者の席の順序が明白」(行実昭23・6・24)ではありますが,総務局長とは定めてはおりません).恐らく自治体毎で「筆頭」部局との位置づけが異なることも想定されるが,では,同概念自体が意味するものは何であるのか,そして,その選定方式はどの様になっているのだろうか,との疑問も沸いてくる.また,時代によっては,自治体間での「筆頭」とされる部局の位置づけ方は波及されることも考えられ,その状況の把握もできるのだろうか.自治体機構内における「筆頭」,興味深い観察課題か.

*1:京都市HP(総務局文書課)「京都市組織図

*2:時事通信(2009年1月27日付)「「人事・行管局」は300人規模に=工程表案、顧問会議に提示−公務員改革」,毎日新聞(2009年1月27日付)「公務員改革:工程表、30日に閣議決定 人事機能集約、反対押し切り」,毎日新聞(2009年1月28日付)「公務員人事:機能移管、首相裁定へ 政府・人事院折衝は平行線

*3:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『ホーンブック地方自治』(北樹出版,2007年)71頁

ホーンブック 地方自治

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*4:大森彌『官のシステム』(東京大学出版会,2006年)104頁

官のシステム (行政学叢書)

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