福島県矢祭町が、町の業務を大幅に委託する外部組織「第2役場」をつくり、新年度からスタートさせる。4日の町議会全員協議会で町が明らかにした。第2役場には住民票の交付といった窓口業務などを担わせ、町は政策立案など専門業務を担う。町職員を減らして人件費を圧縮する一方、第2役場には町民を積極的に雇うとしている。
 第2役場の名称は「一般社団法人やまつり公共サービス」。421ある町の業務のうち、住民票の交付や介護保険の受給者管理に関する業務など106を委託できると想定。町は条例の立案や公有財産の取得などに専念する。町は06年施行の自治基本条例で「団塊の世代の定年退職にも不補充で臨む」とし、現在65人の職員を50人台に減らすとしている。その一環として第2役場を検討していた。働く人は町民から新規採用する。4月のスタート時には元町職員らも移行し、町民数人も含め10人ほどにする予定。将来的には20人程度にし、町民も業務の中核を担う。採用する町民は嘱託を基本に継続雇用もする。町はこの取り組みで4年間に7600万円を節減できると試算している。(木村英昭)

同記事では,矢祭町において,「第2役場」を来年度より開始することを紹介.2008年4月30日付の本備忘録にて取り上げた,同組織準備室設置に関する報道のその後.その業務内容が確定された模様.「第1役場」において採用が抑制される一方で,「第2役場」での「町民」(町民に限定なのだろうか)採用枠を広げる取り組みともいえそう.
当該役場の業務としては,同記事にもある住民票交付,介護保険の受給者管理の他にも,2009年1月20日付の河北新報の報道によれば,「住民票や納税証明書など各種証明書の発行,バイクのナンバー交付,入札データの管理」,「町立保育園職員や公用車の運転手、議会議事録の作成に携わる事務員も第二役場からの派遣で賄う方針」*1という.
上記の2008年4月30日付の本備忘録においても記したように,下名,「委託する業務としないもの」に関心.そのため,同記事にある「政策立案などの専門業務」なるものとは何か,そして,「業務」実施という政策関連情報を調達するための経路から「第1役場」が分離がされることで,「第1役場」に属する個々の職員や組織において,「情報処理モデル(information processing model)」にいう「課題喚起(issue attention)」*2がより限定されていくことにもなることも考えられ,いわゆるBounded RationalityのBoundにおいても,さすがに狭小化に至るとも思われるが,どうなるのだろうか.自治体レベルにおいて,業務から距離が置かれた政策立案が可能となるのか興味深いところ.要観察.

*1:河北新報(2009年1月20日付)「矢祭町が“第二役場”開設 新年度、町民に一部業務委託

*2:Brayan d. Jones,Grame Boushey,and Samuel Workman.2006.‘Behavioral Rationality and the Policy Processe:Toward A New Model of Organizational Information Processing'B.Guy Peters and Jon Pierre,Handbook of Public Policy,68-69

Handbook of Public Policy

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