基山町3月定例議会は6日開会し、会期を25日までの20日間と決めた後、執行部が副町長職を廃止するための特例条例案を提案した。経費削減が目的で、町によると、県内で初という。
 小森純一町長は「副町長を置いていない町を視察したが、行政執行は可能だった。基山町でも職員同士の協働により、やれると感じた」と述べた。副町長は昨年11月から空席となっているが、小森町長は2012年2月の任期満了までは後任を置かないという。この日は、総額約50億2100万円の2009年度一般会計当初予算案など計24議案が提案された。一般質問は9‐11日。

同記事では,基山町において,副町長を置く条例を廃止するための条例案を提出したことを紹介.2008年12月11日付の本備忘録で取りあげた,同町における同職廃止意向の具体化.
同記事内での同町長のご発言にもあるように,同職を置かないことでも「行政執行は可能」なことは確か.ただ一方で,2008年12月11日付の本備忘録で取りあげた記事内にもあるように,同町が同職を廃止に当たり視察を行った湯河原町については,確かに,「年間千数百万円の人件費を抑制」を目的とした「財政難解消策の一助」」として,「意思決定のスリム化が図れる」*1ことを期待して2007年6月に同職は廃止されたものの,2009年2月27日付の神奈川新聞での報道のように,「意思決定ができる折衝役が必要となった」*2として,再設置に関する条例が制定された.
助役(副市長)に対する観察結果による分析からは,その主たる業務が「市役所内部での打合せ」*3ともありつつも,執行部内及び議会を含む調整業務が主となる同職.副長村長においても共通される業務なのだろうか.共有される場合,恐らくは,庁内調整に関しては,一般職である職員間でも可能な部分は多いとは考えられる.ただ,庁外調整となる「平場」の議会との調整となるとどうなのだろうか.例えば,首長が議会との直接交渉*4を経ることを回避するためにも,同職が,執行部外との調整業務を行う際の「折衝役」を果たすことは,一般職としての職員に同種業務を委任することで回収される以上の職務効果を得られる蓋然性も低くはないとも思わないではないが,実際に同職が不在の町村において,どのように庁外調整業務を実施されているのだろうか.要観察.

*1:神奈川新聞(2009年2月26日付)「廃止からわずか1年半、副町長が復活/湯河原町長、議会に条例案提出へ

*2:神奈川新聞(2009年2月27日付)「副町長を置く条例、賛成多数で可決/湯河原町議会

*3:田村秀『自治体ナンバー2の役割』(第一法規,2006年)117頁

自治体ナンバー2の役割―日米英の比較から

自治体ナンバー2の役割―日米英の比較から

*4:例えば,次の記事.共同通信(2009年3月7日付)「再審議求め岩手知事が土下座 補正予算案の修正、可決で