柏市は、使われていない民間の空き地や樹林地の貸し借りを仲介する「カシニワ」制度を始めた。市には既に未利用の市有地や里山を対象にした制度はあるが、民有地を借り手に「地域の庭」として公園のように手入れしてもらうための仲介は全国でも例がないという。市の担当者は「地域の活性化につながれば」と期待している。 (横山大輔)
 カシニワは「柏の庭」と「貸す庭」を合わせた造語。制度では、雑種地(空き地)や樹林地の所有者と、活動場所を求める町会などの市民団体を募集。立地条件や目的がマッチすれば、利用する期間や賃貸料の有無など、両者が交わす協定の締結を支援する。
 土地の利用方法は、空き地では自家菜園やガーデニング、運動場など、樹林地では里山としての手入れなどを想定。一般開放もしてもらう。耕作放棄地や農業利用は対象外。市は、景観や環境の保全に加え、市民主体で公園整備のニーズに取り組んでもらうことを期待している。登録は十五日から始めており、問い合わせも数件あった。来年度からは、土地を囲う柵などの整備に助成制度を創設することも検討している。問い合わせは市公園緑政課=電04(7167)1148=へ。

本記事では,柏市において,未利用の空き地,樹林地の貸し借りを仲介する取組を紹介.同取組の詳細は,同市HPを参照*1
「樹林地,空き地等のオープンスペースや一般公開可能な個人」の「庭などを「かしわ(地域)の庭」と位置づけ」,「みどりの保全や創出のために,土地を貸したい土地所有者,使いたい市民団体等、支援したい人の情報を集約」されたうえで,同「市が仲介を行う」「カシニワ情報バンク」と「一般公開可能な個人の庭,地域の庭を市に登録」をされる「カシニワ公開」*2の2つの取組.前者の取組では,「公園に代わる新しい共用空間を作ること」を目的され,「土地所有者と活動団体等とのマッチング」により「交渉が成立すれば協定等の所定の手続き」が行われ,「使用期間等の土地の利用」*3が認められる,とされる.
そのため,結果的ではあるものの,「空き地を公園,緑地,公共用地に活用すること」ことによる「共通目的の緑地」*4化とも位置付けらそうな取組.興味深い.ただ,手続的には,「交渉が成立すれば協定等の所定の手続きを行ない,使用期間等の土地の利用に係る取り決め」*5るともあり,同「交渉」過程は,「カシニワ情報バンク利用・運用規約」第12条第2項を拝読する限りでは,「カシニワ情報バンク交渉申込書の提出」を市長が「受け」,「その内容について審査し,適切であると認める」手続が規定されてつつも,同条上は,実際の「交渉」に際しては,「当該カシニワ情報バンク交渉申込書を提出した提供希望登録者又は利用希望登録者が交渉を希望する相手方に対し, 期限を定めて,カシニワ情報バンク交渉申込通知書」により「通知」*6されることに,同市の役割が規定されている.交渉申込書に対する内容審査の内容次第とも考えられなくはないものの(提出書類の形式審査に留められるのでしょうか),同市はあくまで情報提供の支援役に徹される模様.今後の交渉状況は,要経過観察.

*1:柏市HP(市役所ご案内市役所の組織と仕事公園緑政課カシニワ)「カシニワ制度の概要

*2:前掲注1・柏市(カシニワ制度の概要)

*3:前掲注1・柏市(カシニワ制度の概要)

*4:中西規之「ドイツにおける人口動態と都市政策の新しい動向」牧瀬稔,中西規之編著『人口減少時代における地域政策のヒント』(東京法令出版,2009年)195頁

人口減少時代における地域政策のヒント

人口減少時代における地域政策のヒント

*5:前掲注1・柏市(カシニワ制度の概要)

*6:柏市HP(市役所ご案内市役所の組織と仕事公園緑政課カシニワ土地所有者のかた)「カシニワ情報バンク利用・運用規約」(制定 平成22年10月29日,施行 平成22年11月15日)