大阪市吹田市は、「経営戦略会議」など政策決定に関わる庁内会議の決定事項などの公開を市のホームページで始めた。
 対象となるのは、政策企画室が所管する「経営戦略会議」「部長会」、政策推進室が所管する「政策調整検討会議」「政策会議」で、いずれも市長や特別職・部長級職員などの幹部が出席し、重要事項の最終意思決定まで行う。現在は、井上哲也市長就任後の5月16日以降に行われた「経営戦略会議」の決定事項を掲載。今後は傍聴を可能とするなど会議自体を公開開催して「市民に開かれた行政」の実現を目指すという。市民からの質問や意見は、電話と電子メールで受け付ける。問い合わせは電話06(6384)2122、政策企画室へ。アドレスはseisakukikak@city.suita.osaka.jp

本記事では,吹田市における「庁議制度」の内容を同市ウェブサイトを通じて公開する方針であることを紹介.同公開の取組は,同市HPを参照*1
同市では「行政運営の基本方針に関する重要施策等について審議調整を行うこと」(第1条)*2を目的に,「吹田市政策会議規程」に基づき設定される会議体は政策会議のみの「単層式」*3の庁議制度として整理はできそう.ただし,公表される会議体は,本記事でも紹介されているように,「方向づけの場」とされる「経営戦略会議」,「課題等協議の場」である「政策調整検討会議」,「情報共有の場」である「部長会」を加えた,四つの会議体.
吹田市政策会議規程」第6条にもあるように「政策会議に付議する事案は,所管の部長が提出」と規定.一方で,2011年5月18日に開催された「平成23年度第1回経営戦略会議」の「決定事項」を拝見させて頂くと,「トップダウンだけではなく,ボトムアップによる案件も対象」とされ,「各部から,それぞれ抱えている課題について,会議の議題として挙げてい」*4くともあり,まずは,各部からの付議案件を「経営戦略会議」で扱われることとなる模様.ただ,その場合,事実上の「複層式」となる会議体のうち「政策調整検討会議」「政策会議」との相補性については,2009年10月23日付の本備忘録にて記した,下名の中心的観察課題である「自治体内会議体」の観点からも興味深いところ.
特に,「公開原則の下」での「現実の会議のあり方」としては,「実質的な討論と交渉は,傍聴者のいない非公式」な場で「活発に行い」,「そこでの合意に基づいて,公式の会議の場では形式な審議を行う」*5との観察もされることもあるなかで,「政策調整検討会議」を除き,「ほぼ同じメンバー」*6である会議体の間での形式性と複層式との関係性に関しては,考えてみたい課題.同市の公表の取組は,要経過観察.

*1:吹田市HP(部課組織一覧政策企画部政策企画室)「政策決定のための会議

*2:吹田市HP(吹田市例規集)「吹田市政策会議規程」(平成18年5月8日訓令第11号)

*3:松井望「首長と事務機構−首長の意思決定機構を支える仕組みとしての庁議制度−」『都市とガバナンス』Vol.12,2009年9月,24頁

都市とガバナンス 第12号

都市とガバナンス 第12号

*4:吹田市HP(部課組織一覧政策企画部政策企画室政策決定のための会議経営戦略会議の開催状況)「平成23年度第1回経営戦略会議決定事項

*5:森田朗『会議の政治学』(慈学社,2007年)132頁(来週の本務校の講義での学生さんたちとの輪読対象.審議会論としてばかりでなく,会議体や意思決定をテーマに考えるうえでも,何度読んでもやはり勉強になります.)

会議の政治学 (慈学選書)

会議の政治学 (慈学選書)

*6:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『改訂版 ホーンブック地方自治』(北樹出版,2011年)185頁(改訂版も講義で利用してみましたが,使いやすさが高まっていますね)

ホーンブック 地方自治

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