広島県は21日、児童虐待に迅速に対応するため、県のこども家庭センター(児童相談所)と弁護士、医師をつなぐテレビ会議システムの運用を始めた。専門家の助言をいち早く受けて子どもを一時保護する判断を早め、虐待被害を食い止める。
 県内3カ所のこども家庭センターと県こども家庭課、嘱託弁護士、嘱託医に専用のノートパソコンを配備。インターネットでそれぞれを結び、写真や資料を共有して虐待の程度や子どもの一時保護の必要性などを協議する。弁護士と医師には出張時などにもパソコンを携帯してもらう。21日は、西部こども家庭センター(広島市南区)と県庁、弁護士事務所(中区)をつないだ模擬会議を開催。センターと県の職員、弁護士の3人が虐待の有効な証拠となる写真撮影の注意点などについて意見を交わした。

本記事では,広島県における児童虐待への早期診断の取組を紹介.「テレビ会議システム」を利用.同取組に関しては,同県HPを参照*1.「法医学医師,弁護士及び児童福祉司等」の「関係者が参集せず」,「ネットワーク上での写真等の資料共有」に基づき,「児童虐待の重症度等を診断」することで「職権による一時保護等」の「対応方針の迅速な判断」を行い「児童虐待の早期対応」.「児童虐待の有無」を「早期に判断」するための「協議に参加できる」仕組み.
自治体の意思決定は,組織間の協議の積み重ね」*2に基づくものの,当該協議を実施するうえで,相対・対面による自治体内会議では迅速性を失する虞にあることが不可避.いわゆる,「他機関との連携する“場”を制度的につくる」ことで「情報の共有や意思疎通を図ろう」とする「巻き込み型」*3の取組としても整理ができそう.興味深い.

*1:広島県HP(広島県の広報報道提供資料最近6か月間の報道提供資料平成23年7月の報道提供資料)「児童虐待の早期診断に向けたテレビ会議システムの運用開始について」(平成23年7月19日,こども家庭課)

*2:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『改訂版 ホーンブック地方自治』(北樹出版,2011年)188頁

ホーンブック 地方自治

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*3:手塚洋輔「児童相談行政における関係機関とのネットワーク構築」『児童相談行政における業務と専門性』(財団法人日本都市センター,2011年)30頁

日本都市センターブックレットNo.25 児童相談行政における業務と専門性―みんなで支える子どもと命―

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