2012年度に向けた今春の人事異動で、県は内示書と辞令書をともに廃止する方針を決めた。異動の内示と発令に伴う業務で大幅なペーパーレス化を図り、業務量削減と担当職員の時間外勤務を縮減するのが目的。県人事課が12日、年度末の庶務担当者会議で方針を伝えた。
 同課によると、事務事業の見直しに伴う削減効果は(1)内示書の用紙約4万枚(2)内示書の外注による費用約70万円(3)辞令書の用紙約2000枚−で、一連の見直しで合わせて1000時間程度の時間外勤務縮減(時間外勤務手当は約200万円縮減)につながる見通し。人事異動の内示で、県は従来、紙と電子データの内示書を作成し、各所属と報道機関に配布。紙の内示書は350部前後を製本し、各部長に1冊、各所属に1〜2冊、各報道機関に1〜2冊を配布していたが、19日に予定される今回の内示では、これを原則廃止し電子データのみとする。
 職員は庁内イントラネットで内示状況を閲覧し、報道機関には内示データを納めたCD−Rを配布する予定。知事部局をはじめ、企業局、病院事業局、各委員会事務局などが一斉にペーパーレス化に踏み切るが、1人1台のパソコンがないことを理由に、教育委員会は従来通り紙の内示書を発行する。4月の定期異動に伴う辞令書の作成と交付事務は例年、年度末から年度当初の多忙な時期に集中して行われるため、担当職員の時間外勤務増加の大きな要因となっていた。これを改善するため、法令上必要な「懲戒」「分限(休職など)」に加え「採用」「退職」といった場合を除き、辞令書は原則として廃止する。
 各所属には発令対象者の一覧形式による「人事発令通知書」を3月中に交付、所属長が口答で発令事項を伝達する仕組みに改める。管理職としての意識付けのため、部長級と次長級の発令者、課長級昇任者については人事課長らが発令事項を読み上げて吉村美栄子知事が訓示する「発令式」を4月1日に行う方向で検討している。県によると、11年度に辞令書で人事異動を発令伝達したのは山形を含む16府県と少数派で、残り31都道府県は口答や電子メールで行った。県職員に交付されていた辞令書。事務事業の見直しで廃止する

本記事では,山形県における内示書・辞令書発令の取組を紹介.
同県の場合,毎年の定期人事異動に間する内示は,この3年間のみを振り返ると,2010年は3月19日*1,2010年も3月19日*2,2011年は3月18日*3と,3月19日前後に発令.加えて,異動者数は,「知事部局」に限った場合でも,2009年は「1,733名」*4,2010年は「1,823名」*5,2011年では「1,675名」*6と1700名前後の規模での職員異動が行われる.これらは「玉突きのかたち」を取りつつ,上記のように「数多くの人をいっせいに動かす」*7ことになると,内示書と辞令書の発令準備と交付自体が,複雑で多くの業務となることも想定されなくもない.
「紙のIT化」という「業務改革」の「第一段階」*8とは位置付けられそうな同取組により,本記事を拝読させて頂くと,「内示書の用紙約4万枚」「内示書の外注による費用約70万円」「辞令書の用紙約2000枚」,そして,「1000時間程度の時間外勤務縮減」に結びつく模様.内示書と辞令書の発令自体は,個々の職員の「ためになる業務」であるかは判然とはしないものの,異動・昇進の「ためにする業務」の色彩が高い場合,その効率化が図られることで,結果的には,人事異動関係部門をはじめとする職員にとっても「ためになる業務」ともなりそうか.

*1:山形県HP(知事室知事記者会見一覧2009)「平成21年3月19日(木) 10:03〜10:28

*2:山形県HP(知事室知事記者会見一覧2010)「平成22年3月19日(金) 10:00〜10:41

*3:山形県HP(知事室知事記者会見一覧2011)「平成23年3月18日(金) 10:00〜10:14

*4:前傾注1・山形県(平成21年3月19日(木) 10:03〜10:28)

*5:前傾注2・山形県(平成22年3月19日(金) 10:00〜10:41)

*6:前傾注3・山形県平成23年3月18日(金) 10:00〜10:14)

*7:稲継裕昭『地方自治入門』(有斐閣,2011年)93頁

地方自治入門 (有斐閣コンパクト)

地方自治入門 (有斐閣コンパクト)

*8:奥村裕一・城山英明「行政における業務改革」 城山英明編『科学技術のポリティクス』(東京大学出版会,2008年)154頁

科学技術のポリティクス (政治空間の変容と政策革新)

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