広島市は、食育推進のシンボルとして設置している市役所本庁舎前の簡易水田の廃止を決めた。6月上旬に最後の田植えをし、秋の収穫後に撤去する。水田を囲う木枠などの老朽化が理由。農政課は「食と農への理解が深まり、一定の役割を果たした」と説明する。
 水田は本庁舎西側の電車通り沿いに、4メートル正方の2区画を設置。秋葉忠利前市長時代の2008年に設けた。幼稚園や保育園の園児が市長と米と麦を二毛作し、これまで468人が田植えやもちつきなどを体験した。市は09年度以降、区役所や都市部の小学校に簡易水田などの設置を拡大した。一方で本庁舎前は設置から4年が経過して木枠が傷み、被爆石の上に防水対策で敷いた人工芝やビニールシートの耐用年数が近づいたため、本年度限りでの撤去を決めた。
 園児が昨年稲を育て、今は麦の収穫を待つ永照幼稚園(西区)の龍永禎子園長は「撤去は残念だが、ビルに囲まれた街の真ん中で貴重な体験をさせてもらった。園児もご飯を大切に食べるようになった」と話している。

本記事では,広島市における「市役所展示水田」の廃止方針を紹介.
同市では,「産地消や自給自足をテーマとする農業振興」と「食を通じて健やかな体と豊かな心を育む食育を推進」*1することを目的に置き,同市庁舎の敷地内に水田を2008年度に設置.同年度は,「稲作」*2に限定されたようではあるものの,翌年2009年度には「稲作」*3と「麦作」*4二毛作となり,あわせて,その経過を常時同市HPで紹介されている.幼稚園,小学校による田植え等を通じて,園児.小学生への食育のみならず,実質的な対象でもある「親を取り込むこと」*5ことも企図できる取組とも整理ができそう.興味深い.ただ,本記事では,「水田を囲う木枠などの老朽化」を理由に廃止の方針を紹介.残念.「食と農への理解が深まり」のための代替的な方策も検討されるのだろうか.要確認.